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アストロ兵器工場跡地攻防戦 前

レビューを書いていただきました!

これを励みにこれからも頑張っていこうと思います!!

 異形の者(ゲスティル)の拠点を発見してから数時間後。

 日は落ち辺りが暗闇包まれる中、シルバーナとリリスは拠点の監視を続けていた。


 「奴らの数はやっぱり1000ってところですかね・・。」

 

 「そうね。それにしても凄い数ね・・。」

 リリスの言葉でシルバーナは再び拠点へ視線を向けるが、そこを行きかう異形の者(ゲスティル)の数に嫌になっていく。


 あれだけの数を相手にするなら敵が出てくる個所を1ヶ所に絞る必要がありそうね。

 アストロ兵器工場は入り口が南と西側の2か所。ここから見える西側の方が身を隠せる建物の残骸も多い。

 攻めるには好都合ね・・・。


 「シルバーナさん、あれ・・!」


 アストロ兵器工場の資料に目を通しながら作戦を立てていたシルバーナはリリスの震える声で視線を工場跡に戻すと、そこに見える異形の者(ゲスティル)の姿に驚きを隠せなかった。


 あれは異形の者(ゲスティル)なの・・??

 元々異形の者(ゲスティル)の姿は一つではない。

 大きく豚の様な動物に近い外見のものもいるが、細身の爬虫類の様な外見のものが一番多い。 

 だがあそこに見える奴はどう見ても私達人間に近い外見をしている・・。

 変異種か・・・? それとも・・・。


 ザッ・・。 魔導照準を使い更に拠点を観察するシルバーナだったが、アスベルからの魔通信が入ったことで一度中断し、魔通信に返答した。


 「シルバーナ、そっちは無事か??」


 「問題ありません隊長。すこし報告したいことはありますが。」


 「そうか。では一度こちらに戻れ。先ほど他の中隊も到着したので作戦を練るためお前からの情報が欲しい。」


 「了解しました。ではこれよりそちらに合流します。」

 「通信終わり。」

 ザッ・・。 シルバーナはアスベルとの魔通信を終了すると、監視を続けるリリスに声をかける。


 「リリス、一度中隊に戻るわよ。」


 「分かりました。」

 「シルバーナさん。私達勝てますよね・・・?」

 

 やっぱり、あの数にリリスは少し怯えてるようね・・。

 まぁ初陣がこれでは無理もない。

 

 シルバーナはリリスの恐怖心を和らげるため笑みを浮かべると、優しい口調で答えた。


 「もちろん・・、とは言わないけど、あなたは私が必ず守るわ。これだけは約束する。」


 「・・・・ありがとうございます。」

 「その言葉を聞いて、なんだか気が楽になりました! 兄がシルバーナさんを好きだった理由、今分かった気がします!」


 「な、何を急に言い出すの! ほら、早く戻るわよ!!」


 ふふふふっ・・・。 リリスは初めてシルバーナの紅潮した顔を見ると小さく笑みを浮かべ、照れてこちらに一度も振り返らずに先を進むシルバーナの後を追い、その場を離れていった。












アストロ工場跡地 西側入り口。

 シルバーナの報告を受け、合流した中隊の内、第1、2、3,5中隊はこの西側入り口の前にある市街地の残骸に身を隠しながら工場跡地へ視線を向けていた。

 また今回の作戦には特殊作戦魔導隊も参加することになっている。


 「こちらアスベル。そちらの状況はどうだ?」


 「こちら別動隊。もうすぐ魔導爆破の準備が完了する。タイミングはそちらに任せるので、突撃の合図を送ってくれ。」


 「了解。」

 ザッ。 アスベルは守りの薄い南側入り口の爆破に向かった第4、8中隊を指揮する第4魔導中隊隊長 ベイド・ルークに魔通信を送ると、その返信を受け後ろに待機するシルバーナ達に振り返った。


 「よく聞け。もうすぐ南側入り口の爆破準備が完了する。そこが爆破されれば残ったここ西側の入り口から異形の者(ゲスティル)の大軍が工場跡地から出撃してくるだろう。」

 「エスティア少尉の報告によれば、敵は少なくとも1000はいる。それに引き換えこちらは70名程度。魔導地雷などがあるとはいえ厳しい戦いになるだろう。各員、覚悟を決めるように!!」


 『了解しました!!』


 隊員達が敬礼をすると、アスベルは特殊作戦魔導隊に視線を向ける。


 「お前達も不本意かも知れないが、力を貸してくれ。」


 「・・・少佐は勘違いしているようだが、我らは元は異形の者(ゲスティル)を殲滅することを目的に設立された特殊部隊。」

 「もちろん協力させてもらいますよ。」

 アスベルの言葉に特殊作戦魔導隊の先頭に立つヴィリー・ヘス中尉は他の部隊とは異なる右手を左肩に当てる特殊作戦魔導隊の敬礼を行うと、小さく笑みを浮かべ頭を下げた。


 特殊作戦魔導隊の奴らは好きではないが、彼らの実力は並みの魔導兵の10人分はあるという。

 今回はその力に甘えることとしよう・・。


 アスベルは頭を上げたヴィリーの顔を見つけると、小さく頷き、再び工場跡地へと視線を移した。

 その隣に各中隊の隊長達が近寄ると、全員が無言で工場跡地を見つめ、攻撃の瞬間に備えるのだった。


 「・・・ザッ。 こちら別動隊。魔導爆破の準備完了。敵はこちらの存在にはいまだ気づいてはいない模様。攻撃開始を具申する。」


 しばらくして別動隊からアスベルに魔導通信が入ると、周りの隊長たちに緊張が走り始める。

 

 「・・了解。ではこれより異形の者(ゲスティル)殲滅及び、拠点の破壊作戦を開始する。」

 「こちらの合図で南側入り口を爆破しろ。」


 「・・・了解。」


 ふぅ・・。アスベル小さく息を吐くと、周りの隊長達の顔に視線を向ける。

 その視線を受けた隊長達は次々と頷いていくと、アスベルは別動隊に再び魔通信を送った。


 「・・5,4,3,2,1、爆破!」


 カチッ。ドォォォォォォン!!!!

 アスベルの合図を受け、別動隊が設置した魔導粘土マジック・クレイに魔力を流すと、南側の入り口は大爆発を引き起こし、地響きを立て近くにいた異形の者(ゲスティル)を巻き込みながら崩れ去っていった。


 シュゥゥゥゥゥゥ・・・・。

 爆破を確認した西側入り口に待機するアスベル達が工場跡地を見つめていると、次第に入り口の向こう側から無数の陰がこちらに向かって動き出すのを確認した。


 「・・・全員、迎撃用意!! 俺の合図で一斉に攻撃を開始しろ!!」


 ガチャッ・・。 シルバーナを始めとする隊員達は各自散開し、あらかじめ決められていた場所で銃を構えるていく。


 「シルバーナさん・・。」

 シルバーナの隣で銃を構えるリリスは、手を小さく震わせながらシルバーナを見つめる。


 「・・大丈夫よ。あなたは必ず私が守ってあげるから。」


 ふぅ・・・。シルバーナは小さく笑みを浮かべながらリリスの頭に手を置くと、再び魔導照準で西側入り口に銃口を構えた。


 「・・・・・攻撃開始!!」

 

 ダダダダダダダダッ!!!

 しばらくして、入り口から異形の者(ゲスティル)の大軍が出てくるのを確認したアスベルの合図で一斉に攻撃が開始されると、辺りは魔導弾の閃光で明るく照らされていった。













 「撃て、撃て、撃て!!!」

 ダダダダダダダダッ!!!!!

 入り口から跳び出してきた異形の者(ゲスティル)達はシルバーナ達の魔導弾を受け次々と倒れていくが、その数にものを言わせ徐々に魔導隊の元に近づいていく。


 くそ、数が多すぎる!!!

 いくら何でもこれじゃ・・・。


 「シルバーナ!! そっちに敵が分かれたぞ!! すぐに迎撃しろ!!!!」


 「くっ、了解!! こっちよリリス!!」


 「は、はい!」

 弱音を吐きそうになったシルバーナは、アスベルの魔通信を受け気を取り直し急いで立ち上がると、魔導弾を放ちながらリリスを連れ移動し、旧市街地の建物を壁にしながら魔導隊の背後に回ろうとする異形の者(ゲスティル)達を打ち倒していった。


 「アスベル!! このままでは支えきれない!!! 魔導地雷を爆破するんだ!!」

 物影に隠れながら抗戦するアスベルの元に、第2魔導中隊隊長であり、アスベルとは同期の女性 メルビー・リオ少佐が声をかける。

 

 「はぁ、はぁ・・、そうだな。ここまで数が多いとは予想外だ。」

 「おいお前! 俺の合図で魔導地雷を爆破するんだ! その旨、他の隊員達にも急ぎ伝えろ。」


 「りょ、了解しました!!」


 アスベルとメルビーの近くにいた隊員は急ぎ他の隊員達に魔通信を送り始める。

 その魔通信を受けた隊員達は、魔導地雷の巻き添えを食わないよう攻撃を続けながら徐々に後退を始めた。


 「・・よし、爆破範囲に味方はいないな。」

 アスベルはしばらくして隊員達が全て退避したのを確認すると、目の前の隊員に魔導地雷爆破の指示を出し、メルビーと共に体を伏せる。


 ドォォォォォォン!!!!!

 隊員が魔導地雷を爆破装置に魔力を流し込むと、地面が盛り上がり、その上にいた異形の者(ゲスティル)もろとも吹き飛ばす程のいくつもの火柱が立ち上がっていく。

 

 シュゥゥゥゥゥ・・・。

 衝撃と熱波が止み、アスベルが体を起こすと先ほどまで異形の者(ゲスティル)が走ってきていた場所は地形が変貌し、いくつもの異形の者(ゲスティル)の残骸と思われる腕や足が転がっていた。


 「・・・や、やった!! やったぞぉぉぉ!!!」

 ワァァァァァ!!! その光景に身を隠していた隊員達から声が上がっていく。

 しかし、アスベルとメルビーは工場跡地を見つめたままその表情を崩さなかった。


 奴らがこんなにあっさりとやられるはずがない・・。

 これほど楽な相手なら、人類が絶滅寸前まで追いつめられるものか。


 「ア、アスベル隊長やりましたね!! これで奴らも・・・、えっ???」

 ブシュゥゥゥ・・。 地雷を爆破した隊員が笑顔を浮かべアスベルの元に駆け寄ろうとすると、自身に何が起きたのかも分からないまま自身の腹部を貫くものを見つめながら、その意識を失った。

 アスベルは背後から降り注ぐその隊員の血しぶきで振り返ると、そこには魔導装甲の隙間をつき隊員にその鋭い爪を突き刺す異形の者(ゲスティル)の姿を確認した。


 「・・異形の者(ゲスティル)だ!!! 全員、接近戦用意!!!」


 その言葉で周りの兵士達からは笑顔が消え、急ぎ魔導装甲に魔力を込め接近戦に備えていく。

 それの気づいた異形の者(ゲスティル)が兵士の遺体を投げ捨て雄たけびを上げると、地面の中から無数の異形の者(ゲスティル)が姿を現すのだった。



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