ハウジング実装1
「なんで教えてくれなかったんですか!!」
俺、山邊 鑿真は絶賛逆ギレられ中です。
なんでか?さぁ俺にもわからない。どうしてこうなったのか・・・
「だってLDEN知らないし・・・」
「それでも〜」
「でもほら、これあげるから」
「ん、ありがとう」
俺はテスト用の要点をまとめたノートの写しを渡すと一目散にその場から離れた。いい加減辛かったのだ、あの注目を浴びるのが。
しかも彼女━━━━名前なんだっけ、アリアは俺とは違って見た目がいいので色々と嫌な噂がたちそうだったのだ。
俺は試験会場に着くと席に座り水を飲む。
はぁ疲れた。本当周りの目を気にして欲しい。まさかアリアがこんな人だったとは
「なんで先行っちゃうの?」
後ろを振り返るとアリアがいた。まさか同じ会場だったとは・・・
「だって君みたいな可愛い子といると周りからの視線が痛いんだもん」
「別に気にしなければいいじゃん」
「気にするんだ、よっ!」
「そういえばさ、さっきから何してるの?」
アリアがノーパソを除きながら聞いてくる。
「小説を書いてるんだ」
「へぇ〜どんなやつ?みせてよ」
「まだだめだよ。プロになるまでは誰にも見せないって決めてるんだ。それにまだこれは完成してないから見せられないよ」
「ふぅ〜ん、そっか、じゃあ頑張ってね」
それだけ言うとアリアはさっき俺が渡した写しを見ていた。
今日のテストは正直俺的には楽だった。まぁアリアは大変だったみたいだけど。
「今日はありがとう」
「いいさ、ギルメンのピンチを助けるのは仲間として当然だ。例えばゲームでもリアルでもな」
「本当にありがとう」
「そうそう今日、俺はインできないけどしっかり勉強しとくんだよ」
それだけ伝えると家に帰る。今は忙しいのだ。
「ふぁ〜休めるのは風呂と布団だけだな」
そう、今は小説の修正などで忙しいのだ。と、いうのも現在俺は小説の新人賞に応募しており既に三次選考を突破、あとは最終選考のみなのだ。ゲームどころではない。
「さて、疲れも少しは取れたし。さっさと続きをするか」
今日も徹夜コースは確定だ。
テスト二日目この日も難なく終わった。そして今日はついにあの日だ。
その日、夜まで小説の修正、編集作業をした鑿真は一旦手を止めてゲームへログインした。
《エクウェスがログインしました》
†ランサー† 『どうした、勉強でもしてたのか?』
エクウェス 『まぁそんな所だ。遅れてすまなかった』
アリア 『ほんとよ、もう皆は行ったから。早くエクウェスも行きなさい』
エクウェス 『ああ』
今日はいよいよ世界樹のイベントの日なのだ、既に他の皆は行ったということなのでソロでは俺だけだ。
暫くして俺が帰る。
エクウェス 『これでいくつ集まった?』
アリア 『261本ね。まずまずじゃないかしら』
†エクウェス† 『これだけあれば大丈夫だろ』
アリア 『まだ。今度はオープンチャットで売って皆から売って貰う』
アリア 『世界樹の丸太を集めてます。売ってくれる方はカントムーマの町まで来て下さい』
結局これで合計921本手に入った。他の素材は†ランサー†が頑張ってくれたようでほとんど集まっていた。
エクウェス 『すまない。今日もやることがあるから先に落ちる。お疲れ』
《エクウェスがログアウトしました》
これも明日までが勝負だ。出したらあとは結果を待つのみ!
テストも無事終わり今日からまたゲーム三昧の日々が始まった。
エクウェス 『皆は確認した?』
†ランサー† 『ああ、でもあれはヤバくないか』
アリア 『そうね、少し素材集めに力を入れすぎたかも』
エクウェス 『そうなんだ。これじゃ一区画しか買えないんだ』
エクウェス 『どうしんだ?』
アリア 『なに言ってんの一区画も買えないわよ!』
†ランサー† 『そうだぜ、今のギルドの金庫には約1億7千万ベルしか無いんだぜ』
エクウェス 『いや、俺が627億ベルあるから一区画だけなら帰る』
アリア 『・・・』
†ランサー† 『・・・』
そう、今回お知らせでハウジングの実装日とそれに伴うメンテナンスの日、更にハウジングの詳細が発表されたのだ。
メンテナンスは来週の7月29日、日曜日だ。
ハウジングは土地を買いそこに集めた素材を使ってカタログの中から家を選び建てるというものだ。素材は予想通りで全て揃っているのだが・・・
土地の値段が思ったより高かったのだ。
一等地は始まりの都、中心部のなかでも東西南北に一ヶ所づつ計四ヶ所一際大きい区画がある。
おそらく運営は四大ギルド、†白の騎士団・パンプキンハンプキン・黒の王国・フォルティッシムス聖教会が一区画づつ持つように設定したのだろうが、†白の騎士団VSパンプキンハンプキンVSフォルティッシムス聖教会の三勢力が争うと言う構図になっている。
ちなみになぜフォルティッシムスが四大ギルドの一角かというとまず俺(前回のイベント、実はその前と前の前のイベントもだが、個人バトルで一位を取っている)がいること。
そして†ランサー†がいるからだ。と、いうのも実は†ランサー†は前回、前々回のイベントで2位をとっており実は凄い奴なのだ。
と、いうわけでこのゲーム最強プレイヤーと準最強プレイヤーがいるので少数だが四大の一つなのだ。
おっと話がそれたがその一等地の内の四区画が一区画500億ベルもするのだ。これが一区画しか買えないという理由だ。
†ランサー† 『いや二区画も買う必要はないだろ、なんに使うんだよ』
エクウェス 『そりゃ一つはギルド本部として、もう一つは俺達の家だ』
アリア 『家、いるの?』
エクウェス 『いるだろ!』
アリア 『まぁいいわ、一等地でもあのバカデカイの以外なら集めれば買えるでしょ』
テルテルポーズ 『少しいいですか』
†ランサー† 『お!どうした』
彼、テルテルポーズは俺達が同盟を結んでいる黒の王国三代目ギルドマスターだ。
最近はよくこうやってうちに遊びに来るのだ。
テルテルポーズ 『今回のメンテナンスについてお話がありまして』
エクウェス 『ああ、ちょうど俺達も話している所だ』
テルテルポーズ 『そ、そうだったんですか、エクウェス様』
そしてみての通り彼はなぜか俺の大ファンなんだ。
エクウェス 『話はあれだろ、ハウジングでどこの土地を買うか』
テルテルポーズ 『はいっ!』
アリア 『土地なんてそんなに意味ないんじゃ・・・』
†ランサー† 『ちゃんとお知らせ読んどけ!今回は東西南北どの地区の土地を買うかによってその地区の商品が安くなるんだよ』
そうなんだ。北には防具屋があり北区の土地を買えば防具が安くなる。東なら防具の素材、西なら武具の素材、南なら武具。そして一等地は道具屋も安くなる。
つまりどの地区の土地を買うかが少し重要だったりするのだ。
エクウェス 『俺達はどこでもいいぞ』
†ランサー† 『ああ、なんなら俺達は同盟なんだから俺達どうしで安く売り買いすればいいし』
テルテルポーズ 『そうですね笑では家は北区でもいいですか』
エクウェス 『わかった。なら俺らは東区だな』
テルテルポーズ 『ありがとうございます。では失礼します!』
よし、あとは金を集めるだけだ。四区画以外でも一等地は高いのだ。それに建てるのにだって素材だけでは足りないからな。
読んでいただきありがとうございます。
次回もお楽しみ!