Episode5 強行突破
しばらく歩くと裏にウェール湖への入口があるという滝が見え始めた。そして、そこにはあの兵士たちが集っていた。
「どうする?」
茂みに隠れながらテーラが聞いてきた。
「強行突破は避けたい。」
僕が言うと、マリア以外の全員が声をそろえて
「当り前。」
と怒られた。
「私に良い考えがあるわ。」
マリアが言った。
「どうするの?」
オーロラさんが先に聞いた。すると、彼女は
「これを使うのよ!」
と、言ってマリアはポケットから超小型収納箱を出し、車を出現させた。
「何考えてるの!?車なんか使ったらバレバレじゃない!」
テーラが大きな声を上げた。僕は、
「気持ちはわかるけど、静かに。」
と言った。すると、彼女は
「何よ...。」
と文句を言いながらも口を閉じてくれた(幸い、テーラの声は兵士たちに聞こえていなかったらしい)。
「そんな顔してるってことはないかとっておきの作戦があるんだろうな?」
次に、僕は自慢げな顔をしているマリアに言った。すると、彼女は
「えぇ、当たり前でしょ?」
と返事をし、僕たちを車に乗せた。
そして、全員が乗り終えると、マリアは
「ブラインド・インナー!」
と、呪文を唱えた。すると、僕たちの体もろとも車体全体が透明になった。
「サイレント・ムーブ!」
続いて、マリアは違う呪文を唱える。すると、車のエンジンの音が小さくなっていき、やがて、聞こえなくなった。
ガチャッ!
と、そこで、マリアはアクセルを思いっきり踏んだ。すると、車は凄まじい速度で走り始め、滝裏への入り口を塞いでいた兵士たちを次々に引いていった。そして、その時、偶然そこにいなかった兵士たちが気付いた頃には、僕たちは滝裏にある湖への入口に辿りついていた。
できれば、強行突破は避けたかったが、結局、こういう結果になっってしまった。