Episode55 詰問
貧血から目が覚めるとそこはテントの中。テーラが僕の顔を心配そうに見つめている。
「テーラ...。ずっと、見ていてくれたのか?」
僕はそう聞く。すると、
「当たり前でしょ?恋人同士じゃない。」
と彼女は言ってくれる。僕は彼女に抱きついて、
「ありがとう。」
と感謝した。
テーラ曰く、貧血になった僕を、ブレイズドラゴンがここへ運んできてくれたそうだ。アイツにも後でお礼を言っておかないとな...。などと、考えていると、彼女が
「ねぇ、どこ行ってたの?ウェール湖?シャインズ王国?ねぇ、どこなの?どうして貧血だったの?」
と質問責めにしてくる。僕は
「そんなこと言われてもわからないよ。少なくとも、湖ではなかった。それと、明らかに人工物らしき残骸もあった...。おれは、古代都市の後?」
と曖昧に答える。そして、その後、何が起こったかわかるところだけを彼女に話し、ついでに、
「湖と言えばさ...あのとき、テーラ、『説明してもらう』とか言ってたよね?それはもう済んだの?」
と言っておくと、彼女は
「あ。」
と言ってテントを出ていった。僕もそれに連いていく。
「私たちが付き合ってるって言う前から、そのことを知っていた件について、説明してもらおうかしら?」
テーラはすっかり忘れていた自分にもあきれながら、バーロンたちに迫る。もちろん、リリーとエレナは
「私は関係ない。」
と即答。一方、バーロン、マリア、エリーナさんの3人は急に慌て始めた。
「そ、それはだな~...。ほら、マリア、説明しろ!」
「え!?私!?私は、上手く説明出来ないし、エリーナさん、言ってみてよ!」
「ちょっと何言ってるんですか?私は知りませんよ。バーロンさん!」
彼らはそんなふうに、振って振って振り続けている。このままでは、キリがないので僕は
「あと1回でも振ったら、強めの『ボルト』撃ちます。」
と、さりげなく脅してみた。すると、彼らは振るのをやめ、最終的にマリアが説明をしてくれることになった。
「あの~、その~、実は~...。」
と、思ったのだが、マリアはモジモジして全然言ってくれない。このままでは、またキリがないので、
「あと10秒以内に言わなくても強めの『ボルト』撃ちます。」
とさりげなく脅す。すると、彼女はやっと説明をしてくれた。
「いや、実は、あの祭りのとき、リドナーとテーラが人気のないところへいくの見てたのよね。だから~、あの~、3人で着けてみたんだ。そしたら、2人がちゅっといっちゃって、すべてを察した私たちは、恥ずかしくなってもとの場所へと戻ったってわけ。」
と、マリアは言っている。一方、テーラは手をプルプルさせながら、怒りを抑えている。しかし、抑えれるわけがない。やがて、彼女は怒り心頭で、
「リドナー、コイツらに『ボルト』をお見舞いしてやりなさぁい!!」
と、怒鳴った。もちろん、僕は
「りょーかーい。」
と承知して、魔力を手に流しながら彼らに近づいた。
「お、おい、落ち着け!リドナー!早まるな!」
早まっていません。当然の報いです。
「そうよ!いくら、恋人だからって何でも言うことを聞いちゃダメでしょ?」
それが、いいんです。この世で一番怖いのは恋人だとか女房だとかなのだす。だから、逆らえないのです。察してください。
「テーラ、私はお姉ちゃんよ?姉からのお願いよ!リドナー君を止めて!」
お姉ちゃんだろうがなんだろうが関係ありません。それに、僕は止まりません。テーラはその程度で折れるほど、根性なしでははありません。
「待ってくれ!本当に待ってくれ!」
バーロンは僕を止めようとする。だが、断る!そう思った僕は
「うるさい。さぁ、行くぞ。」
と言った。すると、彼らは覚悟を決めたようで、目を閉じてその時を待っていた。
そして、僕は
「ボルト。」
と唱える。
「ギャァァァ!」
「いやぁぁぁ!」
「キャァァァ!」
その瞬間、森中に3人の悲鳴が響いた。




