居酒屋世紀末「オムレツ編」
【注意】シナリオ形式で書いています。
居酒屋世紀末(仮)「オムレツ編」
《登場人物》
上葉御 望美(16)……主人公。居酒屋「世紀末」を営む鏡次郎の娘。
上葉御 鏡次郎(42)……望美の父。居酒屋「世紀末」の店長。
三城 弥紀(16)……望美の幼なじみ。
戸仁谷 鉄人(16)……望美の幼なじみ。
伊達 青志(16)……望美のクラスメイト。
1「世紀末」厨房
望美、弥紀、鉄人がエプロン姿でたっている。
前にはそれぞれに調理用具、食材がそろっている。
望美「よーし!それじゃあ、はじめよう!」
鉄人「まったく、なんで僕までこんなこと……」
望美「他人と競い合うことによって、自分の料理の腕を上達させる! そして私の女子力も向上させるためよ!」
鉄人「その発想が既に男っぽいよ」
望美「うるさいな……!」
弥紀「まあまあそれよりさ、何をつくるの?」
望美「作る料理は……オムレツに挑戦だ!」
望美、フライパンと卵を構えて持つ。
鉄人「……それ卵焼きのフライパンだろ」
望美「卵焼きじゃない……。オムレツなの!」
鉄人「一緒じゃないか」
望美「一緒じゃない! ぜんっ……ぜん違う! いい? これはおっしゃれ〜、なカフェをやっていくための練習なんだから。名前は重要よ! 例えばこう! 青く広がる海と白い砂浜を走った青春の味オムレツ……!」
鉄人「口の中がじゃりじゃりしそう」
望美「あんたはほんとムードぶちこわすね」
鉄人「ムードも何も、浜辺で走りながらオムレツは食べないよ」
弥紀「はいはい! 言い合いはそこまでにしてそろそろ始めようよ」
望美「よっしゃー! やるぞー!」
望美、拳を突き上げる。
鉄人「威勢がいいね〜。 まるでカフェ店員だ」
望美「あんたは黙ってて。」
3人、それぞれ料理を始める。
望美「まず最初は……。卵に牛乳、砂糖、塩を入れていき 混ぜて……。なんか物足りないな……。そうだ! やっぱり名前通りのイメージに仕上げなきゃね〜」
望美、青の着色料を取り出し、ボールに入れ、かき混ぜる。
望美「う〜ん……。ちょっと入れすぎたか……。まあ焼けばきれいになる! 気にしない気にしない!」
望美、フライパンにバターを溶かし、卵を焼き始める。
望美「そろそろ焼けたかも。」
望美、卵を箸で返そうとするが、焼けていないので崩れる。
望美「あっ! 破れた! やばいやばい!」
望美、卵をいじくり回してスクランブルエッグのようになる。
望美「あ〜……。ま、まあ盛りつけをきれいにすれば……! 大丈夫よ! 大丈夫……」
望美、料理をさらに盛りつける。
望美「ん〜、やっぱり南国感が足りないな〜。……」
望美、冷蔵庫からブロッコリーを取り出し、さらにのせる。
望美「あ〜……」
弥紀、鉄人、望美のところにくる。
弥紀「そろそろ出来っ……。どうしたのこれ!?」
鉄人「うわ〜……。なんか、ごめん」
望美「なんであやまるのさ」
鉄人「いや……。ごめん」
弥紀「どう間違えたらこんな料理が出来上がるの!? オムレツですらないし!」
鉄人「卵を青くなるまでかき混ぜるとか」
望美「馬鹿にするけどね! ちゃんと考えてあるんだって! 青く広がる海と白い砂浜を走った青春の味オムレツの名の通りに……。青い海と」
望美、オムレツを指差す
望美「ヤシの木!」
望美、ブロッコリーを指差す
鉄人「よく見て! これは、ブロッコリーだ」
望美「わかってるよ! とにかく……! 今回は大失敗。みとめる! こんな料理誰にもみせられないよ!」
青志、店に入ってくる
青志「やあ、上葉御さん。こんにちは」
望美、青志のもとに駆け寄る。
望美「(裏声)あ、あら〜!伊達くんじゃな〜い! どうしたの〜?」
青志「みんなが料理を作ってるって聞いて、御馳走になりにきたんだ」
望美「(裏声)あ〜! そうなんだ〜! 伊達君! ちょ〜っとまっててね〜!」
望美、弥紀と鉄人のもとへ駆け寄る。
望美「誰! 青志君を呼んだのは!!」
鉄人「料理勝負なんだから判定する人が必要だろ?」
望美「よりによってなんで彼なんだよ!」
青志「上葉御さん」
望美「(裏声)は〜〜い!」
望美、青志のもとに駆け寄る
望美「(裏声)伊達君。なぁ〜〜に?」
青志「早速なんだけど料理食べさせてもらえるかな? お腹すかせてきたからね」
望美「(裏声)あははは〜! もちろんよ! でも、もうちょ〜〜っとだけまっててね」
望美、弥紀と鉄人のもとへ駆け寄る。
望美「やばいよ! 料理食べたがってるよ!」
鉄人「そのためにきたからね」
望美「どうしよう!‘こんなのぜっっったいに見せられないって!」
弥紀「望美、ごまかさないで料理を食べさせてあげなよ。彼が好きなんでしょ? 青志君も正直な望美の姿を受け入れてくれるかもだし!」
望美「そうね……。そうかもしれない……! でもやだ! ごめんね弥紀! あんたの料理借りてくから!」
望美、弥紀のオムレツを奪って青志のもとへいく
弥紀「あっ! ちょっと! それは……!」
望美、青志に料理を出す
望美「(裏声)おまたせ〜! どうぞめしあがれっ!」
青志「ありがとう! すごくおいしそうだね! じゃあ……いただきます」
青志、オムレツを食べるとすぐに吐き出してしまう
青志「うえっ! な、なにこれ……!」
望美「(裏声)あはは〜! ……ちょっと何これええええ!」
望美、叫びながら弥紀に駆け寄る。
弥紀「だって望美が変な名前つけるからぁ……。砂浜をイメージしてこしょうをいっぱいいれたの。 もう口の中じゃりじゃり」
鉄人「ミキミキ、ナイスアイデアだね。」
望美「……信じられない!」
店の入り口から、鏡次郎が入ってくる。
鏡次郎「お父さんのお帰りだぞー! おっ! 青志くんじゃねーか!
青志「こんにちは」
鏡次郎「何だそれ? うまそうだな!」
鏡次郎、オムレツをつまみ、食べる
青志「あっ、それは……」
鏡次郎「うげっ! 何だこれ。罰ゲームか? 誰が作ったんだ!? 最悪だぞこれ!」
青志「これは上葉御さんが……」
鏡次郎「お前が作ったのか? そんな娘に育てた覚えはないぞ!」
鏡次郎、望美に歩み寄る。
望美「ちがう〜〜っ……。けど違わないの!」
鏡次郎「おいおいおい……。何だこれは!? 誰だ、卵焼き機の上にエイリアンの内蔵ぶちまけたやつは!」
望美「ちょっ! それはだめ!」
鏡次郎「青志君みろよ! このエイリアンはブロッコリーが好きらしいぜ」
鏡次郎、青志に青いオムレツを持っていく
青志「これ……。食べれるんですか?」
鏡次郎「気をつけな。……逆に食われるかも」
望美、少し涙をうかべ。
望美「ひどい……。おとうさん最低だよ……」
望美、店を出て行く。
鏡次郎「おい望美! いったいどうなってるんだ?」
弥紀、鉄人、鏡次郎をにらむ。
鏡次郎「何となく分かってきた……。はあ……やっちまったな。ちょっくら話してくるわ」
鏡次郎、店を出て行く。
鉄人、青志のもとにオムレツを持っていく。
鉄人「青志、なんか悪いね。これで口直しでもしてよ」
鉄人、青志にオムレツを出す。
デミグラスソースのかかったオムレツは形も美しい。
青志「すごいおいしそうだね!」
青志、一口食べる。
青志「おいしいよ! 誰が作ったの?」
鉄人「それは……この僕だよ! うん、さすがテツジンという名だけあるよね〜」
青志、鉄人を引いた目で見る。
弥紀あきれる。
2望美の部屋
望美、ベッドで顔を落として座っている。
ドアからノックの音。
少しドアが開く。
鏡次郎「望美……。入るぞ?」
一間を置いてから、鏡次郎が部屋に入ってくる。
鏡次郎「あの料理……お前が作ったなんて知らなかったんだよ」
望美「ひどい料理なのは分かってる。でも青志くんの前で馬鹿にされたくなかった」
鏡次郎「それは悪かった。謝る」
望美「……」
鏡次郎「でも俺には分かるぞ。変にオシャレにしようとして無理してああなったんだろ?」
望美「無理なんかしてない!」
鏡次郎「いいや、してる。お前はいつもそうだからな」
望美「違うし……」
鏡次郎「……いいか、無理に着飾る必要なんて無い。素材の良さ引き出すのが料理の基本だろ?料理に着色料なんかいらないんだ」
望美「……そうだね。ちょっとやりすぎたみたい」
鏡次郎「よし、それでいい。」
望美「さっきはごめんなさい」
鏡次郎「うむ! じゃあ店に戻るか。みんな待ってるからな」
望美、鏡次郎、部屋から出て行く。
3「世紀末」厨房
望美、鏡次郎、店に戻ってくる。
青志「う、上葉御さん!」
望美「(裏声)伊達くん! さっきは……えっと」
鏡次郎「望美! 着色料は無しだ」
望美「……。青志君、何かいろいろ振り回しちゃってごめんなさい」
青志「気にしないでよ。それよりさ、さっきこれ食べてみたんだけど」
青志、望美のオムレツを一口食べる。
青志「なかなか味はいけるんだ!」
望美「ほんと!?」
青志「まあ正直……見た目は最悪だけど」
望美「あはははは! だよね!」
青志「でも、味だけなら今日食べた中で一番好きかも」
鉄人「なんだって……。僕のオムレツがエイリアンに負けた……」
望美「てっちゃ〜ん。後で覚えてな〜」
弥紀「まあまあ! うまくまとまったじゃない!」
鏡次郎「そうだな! よーし! 今日の世紀末は貸し切りだ! うまいもん食わせてやる!」
一同「やったー!」
望美「じゃあさ! 今度はちゃんとした料理を作ってあげるよ!」
青志「ありがとう! 楽しみだな〜!」
鏡次郎、青志に詰め寄って言う
鏡次郎「青志君よぉ、あんまり調子に乗るといけねえぜ。 望美がほしけりゃ俺を倒してからだ」
青志「い、いや……。そんなつもりじゃ」
望美、鏡次郎を青志から力ずくで引き離す。
望美「お父さん!余計ななこと言うな!」
鏡次郎「やっぱりお前は俺の娘だ〜!」
鏡次郎、逃げていく。
それを追いかける望美。
終わり
シナリオ用に仮で1話だけ書いたものです。
今のところ続きは予定していません。