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光と陰
会社で会うのは、やはり気恥ずかしかった。
仕事中に夜の事を思い出し、にやけてしまう。彼を見るたび、早く触れたくて仕方がなかった。
そして、安心できない場所に自分の味方が居てくれると言う事に、安らぎを感じた。
今まで、こんなに心穏やかになった事があっただろうか。
自分にとって、『絶対的味方』『守ってくれる』『頼れる』なんてワードを持った人間はいなかった。
一般的にそれは、親だったり、兄弟だったり身近な家族から始まるものなのだろうが、私には真逆の警戒すべき人間だった。
そんな人間達がスタートなのだから、他人なんて尚更信用できる訳がない。
ずっと、心の糸を張り詰めて生きていた。
でも彼の眼差しで、少し緩めても良いのではないかと思える。
そんな時間が、少しでも長くなる事を願っていた。
でも、安らぎの時間は一瞬で消える。
いつでもどんな時でも、凄まじい存在感で私に陰を落とす家族の存在が、邪魔をする。
寧ろ、安らかな時間がその存在をもっと色濃く浮き彫りにする。
私はいつまでも、足枷の様に呪縛から逃れられないでいる。




