1:月光の狼
深い闇に包まれた森に恐ろしい咆哮が響き渡る。森に住む生き物全てが声から遠ざかろうと逃げていく。
高さ3メートルはゆうにある声の主、ムーンライトウルフの前に少年は立っていた。全身を黒一色で包んだ少年は己の二倍はあろう獣に対して全く身動ぎもせずに居た。
ムーンライトウルフは飢えていたのか、それとも余裕だと見込んだのか鋭く尖った白銀の爪をただ真っ直ぐ、少年めがけて降り下ろした。しかしその爪が抉ったのはそれまで少年が立っていた地面だけだった。少年は先程の場所より数メートル後ろに下がった場所で何事もなかったかのように立っていた。
「クリエイション」
起動句と共に青い光が右手に集まる。
それに対し危険を感じたのかムーンライトウルフは一瞬で距離を詰め襲い掛かってきた。しかし既に手遅れだった。
一瞬の間に少年の体は、いつの間にか持っていた漆黒の剣と共にムーンライトウルフの真後ろにあった。状況を把握しようとムーンライトウルフは後ろを向こうとしたがそれは叶わなかった。
白銀の毛は真っ赤に染まり、体を横に裂かれた。なんてこともわからないまま、死んでいったであろう。
ここまで読んで頂きありがとうございます。初めての作品なので自分でもどうなのかわかりません。読んだ感想頂けると幸いです。