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私の命終わる日に ――終焉の女騎――  作者: 葉都菜・創作クラブ
第5章 悪夢と悪夢 ――ウロボロス本部――
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第86話 タイタンの追撃

「大丈夫ですか!?」


 私は心配するボルカの言葉をよそに、死ぬほど痛い左腕に回復魔法を当てる。真っ赤な鮮血が左肩付近から流れている。裂傷だ。


「貴様、あと少し傷が深かったら右腕が取れてましたよ?」

「おやおや、とってもグロイですねーっ!」


 ――いきなり地下エリアから姿を現した巨大軍用兵器は、何か鋭利なモノでデルタ型戦闘機を斬り付けたらしい。その刃が機体だけじゃなくて私の左肩まで斬り裂いたらしい。


[パトラー将軍、ご無事ですか!?]

「あ、ああ、うん……」


 アレイシア城のコミットが心配してくれる。うんとは言いつつも、傷はかなり深い。正直痛くて気を失いそうになったけど、最後の力を振り絞って空間魔法で脱出した。正直、ぎりぎりだった。

 ここはウロボロス本部の市街地だ。その中でもメインストリートかな。広い道路が広がっている。側に私たちの乗っていたデルタ型戦闘機が炎上している。雨がひどいせいか、火は消えつつある。


[……敵を発見]

「…………!?」


 神聖衛士メシェディたちが次々と振ってくる。屋上から飛び降りて来ているんだろう。後は、神聖空戦士デルタが吊り下げてきているか。


「こっちが今日死にそうですね……」

「貴様、縁起でもないことをおっしゃらないでください」

「ボルカちゃん、最低ねーっ!」


 戦えない私に代わって、3人のクローンたちが立ち並ぶ。


[降伏せよ]

「おっ断りーっ!」


 ホノカが先陣を切って衛士メシェディを斬り壊す。彼女の攻撃を引き金に、双方一斉に戦いを始める。だけど、戦いらしい戦いにはならなかった。あっという間に衛士メシェディたちは壊滅する。

 私たちは新手が来ない内にメインストリートを通ってすぐ近くの中枢タワー正門に向かおうとする。ここは片側6車線もの広い道路だ。まだルミエール政府のクローン兵たちは辿り着いていない。……今、私たちはとても目立っている。


「あっ、貴様らのお出迎えが迫ってますよ!」

「…………!?」


 大きな足音が鳴り響く。後ろを振り返ると、50メートル近い体長を持つ巨大軍用兵器が私たちを負っていた。しかも、見かけによらず早い。


「ストーカーとか最低ーっ!」

「あんなのは相手に出来ないですね……!」


 50メートルもの巨体を持つ超大型軍用兵器は、右腕がチェーンソーになっていた。デルタ型戦闘機はあのチェーンソーに斬られたんだろう。もう片方の腕は普通の腕だ。手もちゃんとある。

 あんな超大型兵器は資料になかったハズだ。一番大きな兵器でも神聖守護士ティアマットが最大だ。でも、ティアマットが20メートルほどなのに対して、あの兵器は倍以上ある。


[パトラー将軍、あの超大型兵器は神聖巨戦士タイタンです! 最近になって製造された新型兵器です!]

「だろうね、あんなの見たことない!」

「う、うそーっ!?」


 神聖巨戦士タイタンがチェーンソーの右腕を勢いよく振り下ろす。特殊なコンクリートで作られた道路が一刀両断される。地面に深々と刺さる。この威力、物理シールドで防いで云々という話じゃない……。

 っていうか、あんなに離れていたのに、もう射程圏内に入っているんだ。どんな速度で追いついたのか。走ってきたんだろうな。


「う、うわっ!」


 今度は横降りにチェーンソーで斬りつけてくる。私たちは素早く身をかがめ、凶刃を避ける。鋭い刃が建物にめり込む。だが、すぐに離れ、もう一度横から斬り付ける。今度は身をかがめても避けられない! 私たちは上に飛ぶ。


「…………!」

「あっ……」

「しまった!」


 飛んだ私たちを待っていたのは、大型のエレメント弾だった。5属性全てを纏った特殊な大型魔法弾だ。爆音が鳴り響く。熱く、冷たい魔法弾。風に煽られ、濡れた身体が痺れる。


「あ、Iクローンにも、対応してる、ねっ……」

「クッ……!」


 大型の魔法弾なだけに威力も大きい。恐らく、Iクローンだけじゃなくて対飛空艇にも対応しているんだろう。

 神聖巨戦士タイタンが口を開ける。口内が光り、光線が飛んでくる。私は移転魔法で光線を避ける。光線が着弾した場所が起爆し、地面が轟音と共に吹き飛ぶ。移転先の地面も揺れ、私はバランスを崩しそうになる。


「ど、どうしよう……」

「本当にヤバそうねー……」

「このままじゃ全滅は時間の問題です……!」


 逃げきれない。戦うのも難しい。隠れる場所もない……というか隠れた所で場所ごとレーザー光線で吹き飛ばされそう。私たちは思わぬところで窮地に立たされた。


[降伏せよ]

「…………」


 さっき聞いたセリフが、超大型兵器から発せられる。ホノカは断らなかった。だけど、受け入れもしなかった。


「こ、コミットどうしよう!?」

[……サーガ中将、あの巨戦士タイタンをハッキングできますか!?]

[申し訳ございません、無理です。中枢ゲートの解析をしている今、同時に別の解析は出来ないんです]

[で、でも、このままじゃ――]

[一度解析を中止すると最初からやり直しになります。それでよろしければ、タイタンのハッキングを試みてみますが……]

[そんな……!]


 サーガは私たちが出発した頃から、中枢ゲートのセキュリティ解除作業を行っている。最初に戻るということは、数時間分の作業が無駄になるだけじゃなく、私たちは中枢ゲート前で数時間待たされることになることを意味していた。

 中枢施設に通じるゲートの前で、数時間も耐え続けるなんて相当難しい。恐らく神聖レナトゥス側もかなりの戦力を差し向けてくるハズだ。

 解析を中止して助けてもらうか、このまま戦い続けるか。道は1つしかなかった――。

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