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私の命終わる日に ――終焉の女騎――  作者: 葉都菜・創作クラブ
第3章 輝けるマナ ――廃都グリードシティ――
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第43話 動き出す神聖

 空に浮かぶのは、灰色の軍服を纏い、その上から緑色のマントを羽織ったクローン。見覚えのある姿だ。彼女は――


「――アレは……フウカ!?」


 空にいるのは間違いなくヴァルハラ帝国の前筆頭将軍のフウカだ。だが、その表情は狂気的な笑みに包まれ、戦いを心の底から楽しんでいるようにも見えた。いや、戦いと言うより、何かを壊す感覚に喜びを得ている感じかな。


「そぅら、どうした!? もう死んでしまったか!?」


 フウカは強烈な暴風を伴いながら、この屋上に降り立つ。砂煙が一気に晴れていく。そこには戦慄の光景が広がっていた。


「あ~、さすがにひどすぎです~……」

「フウカ、お前っ……」

「……ケイレイト?」


 四方に向かってひび割れ、へこんだ地面に叩き付けられていたのは、フウカのかつての師――ケイレイトだった。側に落ちているブーメランは砕け、血まみれになった彼女自身からは何の反応もない。……まさか、死んでいるのか!?


「所詮、お前は前時代の英雄でしかない。これからの時代は、私たち新しい世代が切り開いていく。お前は土の下で見ているがいい!」


 フウカが風魔法を利用してケイレイトのすぐ側に飛んでくる。当の本人は完全に気を失っている。クッキーとビスケットもさっきの衝撃に巻き込まれたのか倒れている、今ここに他のルミエール政府高位軍人はいない。ケイレイトの命もここまでか――。


「………!」


 フウカが意識のないケイレイトにトドメを刺そうとしたときだった。空気を切り裂きながら火薬を詰めた鋼の弾が一直線に飛んでくる。それは高速で迫ってきていたフウカの身体に直撃する。空中で爆音が鳴り響き、彼女の姿が爆炎に消える。


「い、今の攻撃は……?」


 ミズカにもたれ掛かるようにして立つ私は、辺りを見渡す。フウカは風のイノベーション。砲撃ぐらいで命を奪えないだろうが、攻撃を止めることは可能だ。

 飛んでくる砲弾は、空に浮かぶ白地に黄色いラインが入る飛空艇に撃ち込まれ、炎を上げる。どうやら、ルミエール政府軍の敵らしいな。さっきのフウカに対する攻撃はヴァルハラ帝国軍による誤爆か?


「あ~、遂に動き出した感じですよ~」

「なに?」

「アレです~」


 にこにこ笑顔のフレイヤが指をさす。そこには黒字に紫色のラインが入った中型飛空艇――軍艦が何十隻と浮かんでいた。

 ヴァルハラ帝国の飛空艇は白地に赤色のラインだ。ルミエール政府軍は白地に黄色のライン。クリスター政府は白地に青色。――黒地の飛空艇は旧クリスター政府系じゃない。アレは――


[一斉砲撃用意! コマンダー・アクア将軍の合図とともに撃て! エンドレス・クリスタルを我らの手に! そして、偽りの光を消し去るのだ!]

「――神聖レナトゥス軍か」


 私は空に浮かぶ黒き飛空艇を睨みながら、呟くようにして新たなる敵の名を口にする。あの軍艦の艦隊は「神聖レナトゥス軍」だ。旧「連合政府」の流れを汲む組織。「神議会」の下位組織。


「……アースちゃん、今どんな状況なのかしら?」

「…………! フウカ!」


 いつの間にかフウカが側に立っていた。その身体はとても砲弾を受けたとは思えないほどだった。……腹部の斬傷はケイレイトから受けたものか。

 私たちの側に立ったフウカは、さっきまでの狂戦士ではなかった。ラグナロク魔法の効果が消えたのだろう。


[ふふっ、ようやく正気に戻ったの? ……私とパトラー将軍とでヴァルハラ軍をまとめて撤退させてるよ。悪かったかな?]

「ヴァルハラ軍を!? ふざけるな、アース! 私たちの任務はエンドレス・クリスタルの――」


 撤退という報告を耳にした途端、ミズカの顔色が変わる。彼女はフウカの持つ小型通信機に向かって怒鳴る。だが、フウカの返答は違った。


「了解。いい判断だわ」

「フウカ!?」

「そのまま撤退作業を進めなさい。私たちもすぐにそっちに向かうわ」


 フウカはアースたちの判断を肯定した。それは私も同じだった。この戦い、ヴァルハラ側に勝機はない。今、エンドレス・クリスタルがどこにあるのかも分からない。圧倒的に兵力が足りない。そして、『戦力』も……。

 ルミエール側はケイレイト、プライシア、クッキー、ビスケットが戦闘不能になったとはいえ、グラディウス将軍とマディアン少将に加え、まだ姿を見せないレク中将、ジュピター中将、サターン中将、ウラヌス中将といった高位軍人たちがいる。合計で6人も残っている。

 一方、私たちヴァルハラ側はパトラー、アース、フウカの3人しか残っていない。戦力さえも私たちは負けている。


「フウカ、撤退って本気か!? エンドレス・クリスタルをまだ――」

「……ミズカ、いい子だから黙って私について来て。大丈夫。後でたっぷり可愛がってあげるわ」

「大丈夫って、そんなこと――」


 ミズカがそこまで言ったときだった。私たちのすぐ真上に巨大な飛空艇がゆっくりと現れる。空が鋼に覆われる。――ルミエール政府最強の飛空艇プルディシアだ!

 そのとき、建物の下から2人のクローン軍人が飛んでくる。彼女たちは同時に私たちの前に降り立つ。いずれも黄色のラインが入った白い軍服を纏っている。


「私はルミエール政府防衛軍第9兵団のレク中将! ケイレイト将軍の仇を取らせてもらいます!」

「同じく第9兵団中将ジュピター。よろしく……!」


 私たちの目の前に降り立った2人のクローン軍人は、ルミエール政府の新手だった――!

  <<【機密】ルミエール政府防衛軍構成案>>



ブリジット=オイジュス政府代表 殿


 『Fクローン及びラグナディスに関する調査委員会』にて出された「ルミエール政府防衛軍の構成案」を提出させて頂きます。ルミエール政府防衛軍を構成なさる際にご参考頂ければ幸いです。



(注)名前の横のカッコ内は出身勢力を表す。

 ※連合政府系=旧連合政府出身

 ※N連合政府系=旧ネオ・連合政府出身

 ※ヒーラーズ系=旧ヒーラーズ・グループ出身

 ※アレイシア系=旧アレイシア軍出身



◆第1兵団

 ◇大将

  ・ソフィア(ヒーラーズ系)

 ◇中将

  ・アーカイズ(ヒーラーズ系)

  ・クリア(ヒーラーズ系)


◆第2兵団

 ◇大将

  ・カルセドニー(ヒーラーズ系)

 ◇中将

  ・カイヤナイト(ヒーラーズ系)

  ・アンバー(ヒーラーズ系)


◆第3兵団

 ◇大将

  ・ギョクズイ(ヒーラーズ系)

 ◇中将

  ・タンザナイト(ヒーラーズ系)

  ・アルマンディン(ヒーラーズ系)


◆第4兵団

 ◇大将

  ・エメラルド(ヒーラーズ系)

 ◇中将

  ・ヒスイ(ヒーラーズ系)

  ・コハク(ヒーラーズ系)


◆第5兵団

 ◇大将

  ・プライシア(連合政府系)

 ◇中将

  ・クッキー(連合政府系)

  ・ビスケット(連合政府系)


◆第6兵団

 ◇大将

  ・レイチェル(連合政府系)

 ◇中将

  ・プディング(連合政府系)

  ・カスタード(連合政府系)


◆第7兵団

 ◇大将

  ・ヴィクター(連合政府系)

 ◇中将

  ・クレマカタラーナ(連合政府系)

  ・カラメル(連合政府系)


◆第8兵団

 ◇大将

  ・グラディウス(N連合政府系)【人間】

 ◇中将

  ・サターン(N連合政府系)

  ・ウラヌス(N連合政府系)


◆第9兵団

 ◇大将

  ・ケイレイト(N連合政府系)【人間】

 ◇中将

  ・ジュピター(N連合政府系)

  ・レク(N連合政府系)


◆第10兵団

 ◇大将

  ・サーラ(アレイシア系)

 ◇中将

  ・ネリア(アレイシア系)

  ・リン(アレイシア系)


◆第11兵団

 ◇大将

  ・レベッカ(アレイシア系)

 ◇中将

  ・フェス(アレイシア系)


◆第12兵団

 ◇大将

  ・レス(アレイシア系)

 ◇中将

  ・ハル(アレイシア系)

  ・ポートリア(アレイシア系)



 以上。


◆追記

 ブリジット代表のご指示通り、兵団の構成はなるべく出身勢力ごとに分けました。



 ――『Fクローン及びラグナディス調査委員会』(EF2017年1月16日 決定)

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