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プロローグ
彼女は最高の力を得た――。
何者の追従を許さぬ強大な魔法を操り、
死を遥か彼方に遠ざける生命力を持ち、
空気を切り裂く光速の素早さを有する。
彼女は戦いに身を投じ続けた――。
悲劇と狂乱の都市で、
サキュバスの巣窟で、
遥か北にある施設で、
邪悪なる地下要塞で、
クローンの本拠地で、
嘆きに満ちた本部で、
黒い夢の渦巻く地で、
彼女は戦い、勝利を掴んできた。
だが、彼女は気づけなかった――。
己の力は決して無限でないことに、
己の生命を犠牲にしていることに、
力も命も残り僅かになったことに。
来たれ彼女よ――。
命終わるその日、
私はそなたを造り変え、
新たなる命を与えよう。
そして、私の傍で愛し続けよう――。
今はまだ何も知らぬ純粋無垢な彼女よ。
終焉の日、そなたは私と巡り会う。
運命は定められているのだ――。