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  リュークが連れて行ってくれた場所は、訳ありの貴婦人と子どもを保護している館だった。

 修道院にも入れない、いいとこ出身の行き場のない崖っぷちの女性と子どもたちが30人暮らしている。

 奉公先の主人に犯されて子供できたから捨てられたとか、奉公先の人にいじめられて紹介状なしに解雇されたとか。親からじじ豚の愛人にさせられようとして逃げてきたなどなど。


 この国の女性地位低すぎ! 私が王妃になったら、女性の地位向上を目指します!って、もう貴族でもないし、婚約破棄された身だった。


 この女院で生活するようになって、掃除洗濯料理の仕方を習い(女院のみなさま女神のようにやさしい。断然似非天使メグよりいい!)なにより金銭のやりくりがんばったよ。いままで院長の友人たちの寄付で極貧生活していた。寄付されてくるものの倉庫を見た時に唖然。


 何十年前に流行したの?と聞きたくなるイブニングドレスたちや足のない机や椅子。女院はゴミ箱ではありません……。


 古いドレスを今風にリメイクして、リメイクできないドレスはテーブルクロスやクッションに。

 ちびっこ達(レイプなどなどで身ごもった子供たち……みなさま子供に罪はないと愛情たっぷり育ててます)に香りのよい野花や草を取ってきてもらい乾燥して、刺繍を施した小さな袋にいれてサッシュに。

 さらに余った布をつなぎつなぎ、パッチワークにした。


 ガラクタ家具を直して、ペンキで塗ったり絵を描いたり。いや~、女院のみなさま……今は私の大事な家族、お姉様方や妹たち。さらにちびっこたちのなかには男の子もちらほら。院のみなさまの技術はすばらしい!


 下手に貴族のお勤めや令嬢訓練をしていただけある。

 とくにおいしい食生活のために、自分たちで稼げると知ってからははりきり度が違う。


『男なしに自立しよう!!』


 と言うモットウをかかげて小銭稼ぎ。


 最初のころは古着屋などに品物を置いてもらったけれど、半年前に私たちの店を持った。雑貨兼古着屋。 貴婦人たちが寄付したものはガラクタだけれど、もともとの素材はいいものだから、リメイクした後も断然高級品。


 とくに私発案のイニシャル付きぬいぐるみが人気商品。


 えっ? 意外って?


 ええ、まあ、外では未来の王太子妃顔でいるけれど、自室はかわいいものでいっぱいだった。父さまがいろいろな国からかわいい物をたくさん買ってきてくれるから。

 その中でとっても気に入っていたのが、テディーベアー。パッチワークで作ったテディーベアーは女の子たちに人気がある。

 彼女や子供が生まれたときにイニシャル入りのテディーベアーを贈るのが、ここ最近の下町の流行だ。  

 求婚でお互いの目の色のくまをあげるらしい。両思いで求婚を受け入れたら、返事代わりにくまにメッセージをつけて送るみたい。



 この彼女に贈る流行は、実はリュークが広めた。

リュークはこの街で人気があった。

 ユク国で人気のある商会のオーナーだった。店の店舗を探してる時にリュークと再会した。最初に会った時から三カ月たっていたから、彼が私のことを覚えていてくれるとは思っていなかった。

 店の店舗も資金のやりくりもリュークに手伝ってもらった。ほとんど彼がしてくれたんだけれど……。


 彼に会って、彼の人気を知って、出会った時に芽生えた温かく苦しい気持ちに蓋をした。

 それなのに……私の誕生日にオーダーメイトで予約していた茶色の目の黄色いテディーベアに、「私の姫さまへ。あなたの騎士より」って言うメッセージをくれた。


 私の容姿は、黒髪に緑の目。リュークは金髪に茶色の目。

 リュークのプレゼントをもらった時に一緒にいたちびっこたちによって街に噂話が広まって、テディーベアーも売れた。


 女というものは……最初は私にいちゃもんつけていたけれど。リュークの気まぐれと今は私には関心がなくなった。

 私もお店が忙しくてリュークに会っていなかったし。


 お店は順調、女院の食事もどんどん豪華になってきた。料理の上手なお姉様がお店にお菓子を置きたいと言った。それによって、カフェ開きたいなどなど……近い将来、私たち女院経営店舗増える予定。

 忙しくなるけれど、令嬢していた時より毎日充実して楽しい。


 そんなバラ色生活を、あの筋肉バカがブチ壊した。

 怪我したちびっこを、わざわざ抱っこして女院に連れてきてくれたバカ筋肉。私を見たザックが顔色を変えていきなり抱きついてきた時は、死神を見た。



 筋肉バカ残念わんこ系、一応騎士団長の長男、伯爵跡継ぎ、軍のトップの父親でほとんどの兵が彼の父をカリスマにして拝んでいる。

ここからはそのメグの逆ハーレム要員の肩書きをもつ奴の弁明。


  私に怪我をさせた次の日にお見舞いに来たが私は眠っていたとのこと。毎日家に来たが会えなかった。3日後に療養のために領地に行ったと聞いて手紙を何度も出して10ヶ月過ぎた。


 父さまが帰国して、私の様子を聞くために面会を望んだ。やっと父さまと会う手配ができたが屋敷ではなく、城の父さまの執務室で面会だった。

 父さまと会話して、私がいなくなったということを聞いた。



 クリスが「姉上は王子にふられてショックで家出した」と言ったみたいで、私を探していた。


 ザックからあの公開処刑のことを聞いて、私の怪我のことを知った公爵の顔が怖かった。と言った。

 ええ、目の前のがたいのでかい男ザックが恐怖顔で震える姿を見た客が、店から逃げて行ったよ。

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