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「リュークはこの国の経済を支えているユクリュー商会の取り締まりだ。わしの子どもたちと年齢が近いゆえ、後継者争いの種になることを嫌い、城から離れて暮らしていた。

 いつの間にか国一の商会になり、あらゆる情報に長けている。

 下手をしたらリュークによって、わしは王座を奪われるのかもしれないな」


「兄上。発言をお許しを」


「ああ」


「兄上から私は父親のように愛情を受けました。もちろん王妃さまや側室さまからもです。先王が崩御されてからの兄上の政をこの目で見てきました。

 たしかに忙しい身にて、後継者教育には失敗されましたが、それ以外はよい王さまです」


「跡継ぎに失敗って無礼だ!」


 発言許可をもらっていないギルバードが叫ぶ。


「事実を言ったまでだ。イレ港をあんなちっぽけな港とバカにしておいて。

 イレ港は元レディス公爵夫人の持参金の一部だ。だが、イレ港はシス王族の血族者に3代まで受け継がれ、三代目つまりユリア姫の子どもの時代にユク国かシス国のどちらの領土にするか決めることになっている土地だ。

 だから、イレ港はいまはユク領土でレディス公爵が管理をしておるが、それはユリア姫のものだ」


「だから、そんなちっぽけな港街などユク国にはいらないと言っているのだ! 叔父上こそ、現実を見たらどうなんです?」


 私も深くイレ港について知らない。いずれ王家に嫁ぐ身だったから、公爵領地はクリスが管理するものと思って勉強していない。


 ギルバードのドヤ顔。それよりギルバードはもう王族じゃないのだからリュークの方が身分が上って分かっているのか……。


 王さまのたわごとと思って、無視していそうだ。小さい時からギルバードは俺さまわがまま王子だから、決して自分の気に入らない言葉は聞かなかった。とくに女の私の意見は聞く耳もない。メグは彼の欲しい甘い言葉を言ったから、彼に愛されたに違いない。


「ユク国は港街が一つもない。それがどういう意味か分からないのか?」


 王さまはギルバードを切り捨てている。彼に説明をするのも面倒くさそうだ。

 会場にいる成人したばかりの若者も、この国の地理や経済などの教育はほとんどない。女子はマナーと歴史と魔法の学習だけだった。男子は剣術と算術と歴史と魔法がほとんどだ。


 リュークが説明をした。


「イレ港開港によって、ユク国はいままで交流のなかった大陸以外の他国と物をはじめ食料または技術の貿易をはじめた。

 また海道を得たことにより大陸の他国へ払っていた通行料を払う必要がなくなり、物価が安くなった。


 私もレディス公爵が国民に開港した時にすぐに船を持ち、貿易に手を出した。私はまだ10歳だったが、冒険に憧れていたからな。海外へ行く理由として貿易を選んだんだ。

 レディス公爵も異国へ外交する傍ら商売をした。

 いまイレ港を失うことは、この国を混乱させ、国力を激減させると言うことだ」


「そうだ。そうだ。リュークは外交で我が国を守ってくれておる。もちろんシス国王族の肩書きのあるレディスのおかげで、他国は誰も我が国をせめようという考えをもたないがな。

 シス国力は我が国より遥かに高い」


 王さまがヒルを見て認めた。


「そ、それはどういうことですか?」


 アンドレアさまが尋ねる。


「その理由を結界の話をした後に、ここにいる者たちに話をするつもりだった。

みなの者は、この大陸の大国は我が国とシス国と学習で習っておろう」


 何人かがうなづく。もちろんメグと愉快な仲間たちは、?マーク。


「我が国とシス国以外は小国で戦争がたえない。

 我がユク王国と隣国シスは協力して周辺国家に圧力を加え、ここ20年くらい平和を保っておる。

 もちろんレディスの結婚によって、他国への牽制ができたからいまの平和な時代になったのだ。レディスの結婚は周辺諸国も知るところだが、まさかユリア姫の婚約者たる我が息子が知らないなどと、情けないのお……」



 王さまが今日で何度目かわからないため息をする。


「シス国の結界は全土に渡っておる。もちろん、それぞれの島国にもだ。だが我が国ユクの結界は、この王都でいっぱいなのだ」


「シス王、それを私の前で言っていいのですか?」


 ヒルがニヤニヤして言った。せっかくの育ちのよい貴公子なのに、ニヤニヤ顔は似合わないよ!


「どうせ、ヒルドさまは知っておろう。

 シス国王及び王族は純聖魔素保持者だ。普通の聖魔素の100倍の力を結界に注げる。ユリア姫は純聖魔素を持っておる」


「陛下。ユリアの秘密をここで言うとはどういうつもりですか? ここまでバカにされたこの国に、いまさらユリアの力を当てにしようなんて考えないでください」


 父さまが王さまを睨んだ。自分にそんな力があったなんて知らない。

 ヒルも父さまの意見に同意した。



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