私の希望。
前回の作品から、ぱっと思いついた続編です。
前回の登場人物の行動は実はこんな裏があった!的なお話になっていればいいなぁと思います。
楽しく読んでいただけたら嬉しいです!
私はあの子が大好きで、あの女が大嫌い!
だから絶対に私はあの子を幸せにするんだから!
この私の手で、あの子の笑顔を作るのはこの私!
それが私の希望。
「ホントに『守護神』の世界にいるんだぁ…。
すごい感激!!
しかも私の大好きなヒロインのためのサポートキャラ!
あの子のためにいろいろ協力できる立場!
あぁ、あぁ!
にやにやが止まらない~~~~~っ。」
っといけない。
また私の悪いくせが出てしまったわ…。
最初から皆さんに変態認定されるところだった!
皆さん初めまして。
私は有野 芙蓉美と申します。
14歳の中学2年生。
(歳のわりに身長が173cmと高いせいでいつも高校生に間違えられるけど、れっきとしたJCよ!!)
平々凡々な家庭に生まれ、特に不自由のない生活を送ってきた私。
人と違うところは祖父が剣道の道場を経営しているから、小さいころから剣道を習わされ、今では有段者っていうことくらい。
あ、あと私には「守護精霊」というものが付いていて、
色々と危ないことから守ってくれていることもかしら。
まぁでも、この「精霊」は私だけについているわけじゃないから、私だけが特別ってわけではないのよね。
そんな普通の私が、普通じゃなくなる出来事がつい3日前に起きたの!!!
それは……
私ったら、転生者だったの~~~~!!
しかもしかも、転生した世界がなんと!私が前世で大好きだった「あなたの守護神」っていう所謂乙女ゲームの世界だっていうんだから、
これが喜ばずにいられますかってのよ!
って!
あ、ちょっと!
ドン引きして遠ざかって行かないでよ!
本当の事なんだからしょうがないでしょ。
私は3日前に体育の授業中にバレーボールが顔面に当たって、倒れ、頭を強打。そのまま保健室&病院へ急行。
軽く脳震盪を起こしていたけど、頭の検査での以上はなし。
たんこぶが引くまで氷で頭を冷やされた後、家に帰ってその日は就寝。
その夢に出てきたのが前世の私の記憶。
前世の私は今の私とは違ってとってもインドア派なオタクだった。
人とかかわることがあまり好きではなく、
友達と呼べるのはネットの中にいる顔もわからない相手だけ。
だからと言って、世間を憎んでたいたわけじゃないけどね。
だって、前世の私ってすごくめんどくさがりだったから、
人付き合いも嫌いで、おべっか使うような関係ができなかった。
人に嫌われたって、めんどくさいことしてストレスためるよりは、好きなマンガだったり、ゲームだったりに浸っていたかったわけよ。
そんな人間だった私は、ゲームの中でも特に乙女ゲームと言われるジャンルが大好きだった。
現実世界のイケメンとかいう生き物に興味は一切なかったが、二次元のイケメンは大好物!
えぇ!
私はれっきとした妄想族で腐女子です!!!!
(え?力説するとこじゃない?)
そんな好きな乙女ゲームの中でも大好きだったのが、
「あなたの守護神」というタイトルのゲーム。
舞台設定は現代日本と似ている異世界。
「魔」と呼ばれる存在が人間と共存しているというもの。
「妖魔」と呼ばれる悪い「魔」を「精霊」と呼ばれる良い「魔」とともに倒していくRPG要素も入っている。
ただ、攻略対象キャラの好感度をあげていくだけでは恋人にはなれず。
しっかりと自分のスキルも上げていかなくてはいけない。
攻略対象者は全部で7人で表ルートの4人と裏ルートの3人がいた。
私はもちろん全部やりつくして、7人全員の「バッドエンド」・「ノーマルエンド」・「ハッピーエンド」すべて網羅したわよ。
ヒロインが通常の乙女ゲームよりもプレイヤー側の容姿をしていたのも、私が気に入ったポイントの一つ。
(美少女がヒロインだったら、自分と入れ替えて妄想とかできないじゃない!そんなくそ面白くないっ!
あら、つい口調が悪くなってしまったわ。)
私の場合は、自分自身の可愛い妹とか、娘的な目線で見ていたから、幸せになって行ってくれる様子は本当に涙もの
ネッ友にすらひかれるくらいヒロインを溺愛していたわ!!
スチル集めのために仕方なくバッドエンド選んだけど、もうもう!身を切られる思いだったわよーーーーT.T
そのぐらい思い入れのあるゲームに転生できちゃった私、しかも大好きなヒロインをサポートできる「有野 芙蓉美」っていう親友キャラ!!
何度考えても笑いしか出てこない♡♡♡
きっと、2日間も寝ないでゲームをやっていて、ちょっと睡魔に襲われたらそのまま後ろにひっくりかえって頭を打ち付けてお亡くなりになるとかいう、間抜けすぎて笑うこともできない死に方をした私を、可哀想に思ってくれた神様がいたのね!
ありがとう神様!!
私第2の人生を謳歌します!!
そう!そして前世の知識を生かして、私のヒロイン(暴走)を幸せにしてみせるわ!!!!
と、膨大な知識量にこらえられず爆発した頭で決意したわ!
それから3日後の今日、私は「姫」こと親友(ここ重要!)姫宮 陽へ決意表明をし終えたのがさっきの事。
姫は「ふーちゃん?いきなりどうしたの?まだ具合悪いの?」なんて言ってたけど、
(ていうか、ふーちゃんなんて呼ばれて、萌死んじゃいそう><)
私はおかしくないわよ、私はこの手で姫を幸せにしてあげたいだけなんだから!
この日から、私は姫の可愛さにやられつつ(え?変態?何それおいしいの?)、幸せな学校生活を送っている。
(ゲームのシナリオが始まるのは高校入学してからだから、それのための下調べと準備を怠らずにね!)
そんな幸せな私の世界にも、1つ懸念事項があるわけで…。
それは姫の幸せを邪魔するライバルがいるっていうこと!
そのライバルキャラの名前は「安陪 巫女」。
この世界を支える一番偉い人を守るためにいる5つの一族の一つである、安陪家の娘ってだけで何の能力もないのに、攻略キャラの婚約者に収まっている女!
しかも5つの一族は「精霊」に愛されているはずなのに、まったくもって愛されず、むしろ嫌われてるという「忌み子」。
そんなダメダメな女なのに、私の姫の邪魔をするなんて信じられない!
絶対に絶対に排除してあげるんだから!(思い込みが激しいのは妄想族特有よ、文句ある?)
そのためにも高校に入ってからの私の行動は絶対に重要よね。
最初は私、安陪 巫女の事嫌いじゃなかったのよ。
ゲームをやる前に読んでいたスピンオフ小説では、
ライバルキャラなのに、ヒロインに嫌がらせしたりはせず、ただひたすらに。婚約者を思っているっていうけなげな子だったから。
でも、実際にゲームをやってみたら全然違うの!
自分には懐かない「精霊」が何の家柄も持たない姫に懐くからって、嫉妬して嫌がらせ。
婚約者が姫と話すのが許せないからって嫌がらせ。
挙句の果てに、「妖魔」討伐にかこつけて姫を殺そうとするしまつ!
スピンオフ小説書いた人はあの女のどこをどう見たら、あんな小説が書けるのよーーーーーー???
と叫んだのは本当に今でも忘れないわ。
まぁ、どのルートに行っても必ずお亡くなりなるキャラだったのは「ざまぁ」って思った私って悪くないわよね。
そうやって、姫との幸せな学園ライフと「安陪 巫女排除計画」を思い描きながら私の中学3年生の時間はあっという間に過ぎていったわ。
そして、そして!
今日!
ついに、ついに!
「私立 春暁学園・高等部」の入学式の日!
私の「姫、幸せ人生計画」の初日!
有野 芙蓉美、15歳!頑張ります!!
1つ目のイベントは、攻略対象である先輩に、新入生のための花を胸につけてもらうこと。
「ふーちゃん!こっちの列すいてるよ~。」
だなんて可愛くいってくれる姫に鼻血だしそうになりながら、(変態?よくわからないわ♡)そっちの列じゃなーい!と体当たりで、お目当ての先輩の列の最後尾に並ばせる!
ちょっと恨みがましい目で見られたけど(あぁ、そんな顔も超絶可愛い!!)、姫の幸せの為なんだから!そんな顔しないで。とにっこり笑顔で返した。
無事に1つ目のイベントが終わったところで、2つ目のイベント。
攻略対象である生徒会長に存在を印象付けるため!式に遅刻しなくちゃいけない。
何故かサクサク進んじゃうホームルームと説明。
もぅ!こんなだったら私がトイレに行っても全然余裕に間に合う時間じゃない。
ここは少し長めにトイレにこもるしかない!(姫に大の方だと思われるのはとても恥ずかしいけど…(泣))
これも何とか遅刻ができて、無事イベント終了☆
どういうわけか、大嫌いなあの女が同じクラスなのが気になるけど、
ゲームの世界と現実世界がいい感じで混じってるのだろうし、些細な変化だろうとあまり気にしていなかった。
その後もイベントを姫にサクサク回収させて、今日はルート選択の日。
私には「精霊」がついているといったと思うけど、
実は姫にも「精霊」が付いていて、しかもその「精霊」が上位精霊である「九尾」だったことから、攻略対象者4人から特別授業をしてもらえる日。
ここでの会話によって、どのキャラを攻略してくかを決めることができる大事な日!
私は姫を幸せにしてもらう相手を決めかねていたけど、
やっぱり前世で一番好きだったスチルの相手、「御青院 龍弥」のルートにしようと決心して、姫にくっついていった。
トントン
「失礼します。」
姫の愛らしい声とともに扉を開く。
さぁ、そこには見目麗しい姫の恋人候補たち!!!!
のはずだったのに。
「安陪の巫女!!!!!
なんであんたがこんなところにいるのよ!??
ここは龍弥様と姫の大事なイベントの部屋なのに!!!!!」
入った途端こう叫んだ私を許してほしい。
だって、この部屋にいるべきはずの人物がいなくて、いるはずのない人物がいたんだもの。
部屋の中にいたのは。
私が姫を託すと決めた「御青院 龍弥」様と大嫌いなあの女。
どういうことなのよ???
私はパニック状態であの女相手にずっと叫んでた!
「あんたここにいちゃいけない人間よ!?
ここでのイベントに必要なのは攻略対象4人であって、
あんたじゃないのよ!」
「私の麗しの姫と攻略対象との幸せな時間を邪魔しないでよ!」
「取りたいスチルの写メが取れないじゃないの~~~!!!!」
「今、思えば完璧なやつあたりよね~。」
「本当ですわ。
私心底びっくりしましたのよ。」
「私だってびっくりしたよー。」
「しょうがないじゃない!
だって設定がそこまで変わってると思わなかったし、
むしろ私以外に私みたいな存在がいるなんて考えたこともなかったんだから。」
「まぁ、確かにありえないですわよね。
しかも、年代が全く違いますもの。」
「そんなことってあるんだね~。」
今私…、いえ私たちは特別室で特別授業という名の女子会をしていたりします。
誰とですって?
聞いたら驚くんだから!
私と、
私の大好きな可愛い愛くるしい姫(形容詞に突っ込みは不要!)。
そして、もう一人。
私の大嫌いだった!
「安陪 巫女」
何故かって?
あの私がみこに対して言いたい放題叫びまくった日。
あの日、私はいつもならとてもじゃないけど出せないであろう馬鹿力を出した姫に引きずられ、教室から出て、自分たちのクラスまで行った。
そこで私は姫にこっぴどく叱られたのよ。
それはもう、可愛くて食べちゃいたくなるような涙目と、恥ずかしがっている表情で!(変態じゃないのよ、腐女子なだけよ!)
「モーどうして、ふーちゃん安陪さんにあんなこと言うの??
私の事指導してくれるの安陪さんなんだから!
大好きなふーちゃん…「ふごっ!」…!!???
が、私の憧れの安陪さん…「げふっ…。」に文句言う姿なんて見たくないよ…。
って!? ふーちゃん大丈夫???
鼻血出てるし、なんで頭そんなに壁に打ち付けてるの????」
※大好きといわれて、鼻血だし、憧れの安陪さん発言を聞きたくないため。
「だって!
あの女は姫の幸せを邪魔するすっごいいやな存在なのよ??」
負けじと姫を説得しようと話続けようとした瞬間。
第三者の声が教室に響いた。
「そんなこと致しませんわ。
わたくし、17歳なんて若さで死ぬなんて死んでもいやですもの。」
私が振り返った先にいたのは、
「安陪 巫女??
なんで??」
そして絶句している私に近づき、耳元でこうささやいた。
「あなたの守護神…。ご存知ですわよね?」
そして、うっとりするような極上なでもどこか黒い笑顔を浮かべてくれた。
この後私は現実逃避がしたくて意識を手放したのは言うまでもないかも。
その後は怒涛のだった。
倒れた私は何故か安陪 巫女の家に連れて行かれていて、
ふわふわのベッドの上に寝ていた。
起きた時に横にいたのはその家の住人。
そして、私に対してもう一度確認するように話し出した。
「有野さんも、転生者でいらしたんですのね。
私とても嬉しですわ!」
「あ?へ?あの??」
安陪 巫女は自分も転生者であること、ライバルキャラに転生したのをわかっていたので、
絶対にライバルにはならないように少しでも死亡フラグが回避できるように生きてきたこと。
自分もこのゲームが大好きだったことなどをすごい勢いで話してくれた。
結果…………。
仲良くなったw
「それにしても、私のプレイしていたのが復刻版だったなんて。」
「私も驚きましたわ。
だって、10年後にリメイクされるほど人気なゲームじゃなかったと思いますもの。」
「復刻版だと、みこすっごいいやなキャラだったのよ~。」
「みたいですわね。
まぁ、嫌がらせをしないライバルキャラなんて聞いたことないですし、
ライバルキャラがヒロインよりけなげとか、全然張り合いたくなくなりますわよね。」
「そうそう!
私、安陪 巫女があれだけいやなキャラじゃなかったら、
あそこまではまらなかったかも。」
「それを狙って、リメイクしたんでしょうねぇ。」
じつは、みこは私よりも15歳くらい年上の年代だったらしいの。
そして、みこのプレイしていたゲームと、私のプレイしていたゲームが、
少しだけ設定が変更された初版とリメイク版だったということが判明。
みこの記憶にあるストーリーと、私の記憶の中のストーリーに違和感を感じて、
二人で箇条書き(笑)にしてみたところ発覚した。
同じ転生者、同じゲームが好き。
こんな共通点がある二人が仲良くならないなんてわけがなく、
ちなみに私は巫女の外見はストライクだったため、仲良くなれば手のひらを返したように溺愛し始めのは、ここだけの話。
最初は訳が分からず、私たち二人を見ていた姫だったけど、
だんだんと中に入りたくなってきたようで、
「二人だけずるい!私も仲間に入れてよ!」
ととてもかわいくすねたので。
私とみこと二人してわしゃわしゃしてあげた♡♡
絶対信じないだろうと思ったけど、
私たち二人は転生者だということ、そして、この世界が私たちが大好きだ
ったゲームの世界に酷似しているのだということを話したら、
以外にも、姫はすんなり受け入れた。
「そうかー。
ふーちゃんがおかしくなったのはそういう理由があったんだね!
でも、納得したよー。」
「ふーちゃんすっごく変な事ばっかり言うし、
ストーカーかと心配になるくらい先輩とか、御青院君たちのこと知ってるから、
ドキドキしてたんだよー。」
なんていわれてしまったのよ。
私が一生懸命イベント回収していたのが、そんな風に思われていたのね…。
まぁ、当たり前かしら…。
みんなゲームではなく、今を現実として生きているのだものね。
ちょっと、転生したという事実に浮かれすぎちゃっていたかもしれない…。
みこみたいに、私もしっかりと今を生きなくちゃ!
反省、反省。
そして今、私と姫とみこは3人で女子会をしているの。
なんだか、当初の希望とは少しだけ違ったけど。
姫が笑顔でいてくれてるし、親友と呼べる美少女がもう一人増えたし、
なんだかんだと私第2の人生前よりもっと素敵に生きていけそう!
神様 本当にありがとう!
この後、また転生者が表れて、ゲームが進行していく事になるのは、
また別のお話…。
おしまい。
ありがとうございました。
前回のふーちゃんの奇行の原因を書いてみたかったのと、
転生者同士仲良くさせたいなぁなんて思ったので書きました。
楽しんでいただけていたら幸いです。