第8話 入学式と誰かの視線
光が入りやすいように設けられているガラス張りの天井から太陽の日がさんさんと照らし出している。そんな大きな多目的ホールの中で入学式がはじまった。
前世で勉学のために学園に通ったことがないオレに取っては、何もかもが目新しく新鮮に感じる。
例えば、オレたちが入場する時に上級生が魔術を使って、幻想的に花びらを舞い散らせ歓迎してくれたことや虹のゲートを俺たちが進む場所に生成して、華やかに出迎えてくれたことは不覚に奇麗で感動してしまった。
その後、座席に着くやいなや来賓の挨拶や在校生の挨拶がすぐに終わる。もっと、長々と話を聞かされるのかと身構えていたが拍子抜けした。
そして…
「入学生代表前へ。入学生代表リリアーヌ・フロイデンベルクさん、前へ来てください」
「はい」
遂にきたオレの挨拶の番だ。オレは入学生代表として、挨拶をすることになっていた。オレは前世でいろいろな種類の代表挨拶をしてきたが、学生として挨拶するのは初めてだ。ちょっと、新鮮な気分でトコトコと歩いていたら、先ほどニーナに八つ当たりをしていた貴族のガキが睨んできた。
だから、オレは睨んできたガキを鼻で笑ってやった。すると急にガキが席を立つ。
「なんで、お前なんだよ! 俺があそこで本来はやるはずだったんだ!!」
「カルロス君、席に戻りなさい。早く」
教師が慌てて、貴族のくそガキをもとの席に戻るように指導をする。オレは内心で笑いながらその光景を見ていた。さてと壇上にあがるとするか。その前に一礼をしないとな。
壇上に上がって、オレは挨拶をはじめる。寒い冬の季節が終わり、暑い熱気ある今日この頃、私たちは入学をうんたらかんたらとオレが長々と挨拶をしているとそれはオレがやるはずだったのにとあの貴族のガキがまだ言っている声が壇上まで聞こえてきた。
「うるさい。ただの教師の分際で!!」
「俺の父上は偉いんだ」
「はい、はい、偉いね。偉いね」
まだ、やっているのかよ。オレはそう思って、後ろを少し振り返り、引きずられて席に戻されていく貴族のガキを見る。もはや哀れみの感情しか湧かないぞ。
しかし、こんな所でなにも考えなしで騒ぐあたり、相当頭も悪いんだろうな。オレはそう思いながらひたすら挨拶を述べていた。
「…先輩方であるお兄さん、お姉さん達にお世話になると思いますが今後ともよろしくお願い致します」
な、なんだよ。この台詞は恥ずかしすぎるわ。オレの顔は照れすぎて真っ赤になっているだろうな。恥ずかしさの余りに顔が熱いぞ。
そうオレが照れながら挨拶を締めくくると後ろから僕が公私共に君をお世話してあげるよとか。私の妹になってなどの声が聞こえた気がするがすべて気のせいだろう。
そして、オレが壇上にいる学園長に屈辱ではあるが頭をたれて、後ろを振り返り戻ろうとすると凄まじい視線を感じる。いったい誰だろうか。オレはその視線を感じながら席に戻っていった。