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第3話 オレが魔道を求めた代償は親父からの厳しい罰だった

 遥か昔、神々が争っていたと言われている時代。その時代の人々は魔法を自由自在に使うことができたと云われている。


 だが、現在では僅かな人が魔道具に封印されている魔法を再現する魔術しか使えなくなっていた。


 そんな、時代の魔術師の優劣はどれだけ魔導具を所有しているかが一流とその他を分ける要因の1つになっていた。


 オレが生まれ変わった家系は魔術師の一族の中でも優秀な方だったようだ。


 今、オレは父親の書斎から鍵を持ち出して、宝物庫の扉を開けたのだ。オレ自身が戦えるようになる為の武器を探す為に宝物庫にきている。


 そこには石造りの壁の部屋の中に古びた箱が棚に整然と置いてあった。箱の前には丁寧に道具の用途や効果と名前が書かれていていつでも持ち出せるようになっているようだ。


「いろいろな魔導具があるぞ。これは飛翔、発火…」


 何か使えるものはないだろうかとオレが宝物庫を探しているとそこに前世で使っていたような剣があった。


 かっこいい剣だな。ちょっと、試しにふってみようかと思って剣を握り持ち上げようとした。


「重い。重くて持ち上げれそうにもない」


 くそ、持ち上げることすらできない。やはり、大男であった前世と小娘の現世では勝手が違う。


 現状では、少女であるオレが武器を持ってもまともに戦えない。やはり、まずは魔導具を探さなくてはならないな。


 オレは幸いなことにどうやら魔術の能力に秀でた家系に生まれ変わったために小さいながらも魔力量が膨大だ。


 基本的に子供の頃は魔術を使う為の魔力量が足りない。


 なぜならば、魔術を使う為の魔力総量は肉体の成長と共に増加するようになっているため、小さい頃は魔力が足りないのが普通だ。だから、幼少の頃は魔術を使うことが難しいのだ。


「これは丁度いい。すこし、試しに発動してみるか」


 オレは棚にある飛翔の魔導具を取り、魔術を発動させるために魔力を込める。魔導具の魔道回路に魔力を適切に流すことによって、魔術を具現化する。


「ぐふぅ、イテテテ」


 魔導具に魔力を流し過ぎたようだ。天井に頭を打つけてしまった。頭に瘤ができてるかもしれない。それほどまでに痛い。


「誰だ! 我が魔導具の倉庫に侵入したモノは!」


 そうバンハウト・フォン・ヴェルトハイム・フロイデンベルク公爵である親父が怒鳴り込んで、部下達と一緒に宝物庫に入ってきた。やはり、さっきの魔術でオレが天井とぶつかった音で集まってきたのだろう。


「リリアーヌちゃん!? どうしたの頭が痛いの?」


 フロイデンベルク公爵は頭を抑えてうずくまるオレを見て、心配そうに駆け寄ってきた。


「これは空をかける翼だ。魔力の残り香からリリアーヌちゃんが発動させたの!?この年でか。うちの子が頭が良いとは思ってたけど。魔術を教えていないのに発動させたのか」


「公爵様、リリアーヌ様が勝手に倉庫に入った件で注意をするべきだと思います」


 公爵とその部下がオレの前で大きな声で会話してやがる。実にうるさいが頭を強打したオレは痛みに耐えるように踞るのが精一杯でこの部屋から逃げ出すことができそうにない。


「確かにそうだ。リリアーヌちゃん、ここは、パパの大切な仕事道具がたくさんある場所だからね。次からは危険だから入らないでね」


「…この親バカ公爵め」


「なんか言ったかいフロム?」


 今、部下が上司である公爵に暴言を吐かなかったか?あり得ない主従関係を見たような気がする。気のせいだろうか。


「公爵様。彼女は小さい子供ですから、しっかりと教育する意味も込めてもっと厳重に注意すべきだと思います」


「よし、わかった。フロムがそこまで言うなら、もう少し、厳しく怒っちゃうかな。リリアーヌちゃん。パパの倉庫に勝手に入る悪い子にはぺろぺろの刑だ!!」


 それは厳しくとは違うだろ。タダの変態行為だ。やめろよ。オレのそんな気持ちも知らずに公爵はまったく威厳も糞もなにもないように娘であるオレを捕まえてその頬をなめはじめる。


「ペロペロ」


「やめてください。お父様! やめて!!」


 この放せ。おい、オレの頬を舐めるのはやめてくれ。気持ち悪い。


「やめない。ほら、ぺろぺろ」


「やめろっと言ってるだろう!!」


 オレの叫びを完全に無視してこのキチガイ公爵はオレの頬を舐め続ける。


「本当に貴族にしては珍しく仲が良い親子だな」


 部下がオレたちを見てそう呟いた。そして、その後にオレを見て優しげに微笑む。笑っている場合じゃないだろ。早くこの親父を仕事場に連れて行けとオレは内心で愚痴るが誰も公爵の行為を止めようとしない。


 そのため、仕方なくオレは弱々しく何度も抵抗を試みたがすべて無駄に終わってしまった。


 結局、公爵がオレを開放したのは舐めはじめてから1時間たった後だった。オレは公爵の行為に疲労して何もかもがイヤになり、自分の部屋に帰って寝ることにした。

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