第20話 リリアの企みと変態の陰
授業の終業を告げる鐘が鳴り響く。授業が終わったようだ。オレは眠い眼を擦るように腕を動かした後に体操服があるかどうかを確認した。
どうやら、前回と違い、無事なようだ。机の横にきちんと体操服がある。やはり、目の届く所に置いてあったからだろう。体操服は盗まれていない。
担任のケビンが学園の帰りの挨拶を終えた所で、オレ達は行動した。
「リリア様、準備はできました。教室から出ましょう」
「わかりました。では、荷物は重いので置いていきましょう。図書館で調べもの学習ですね」
オレ達は打ち合わせ通りのことを大声で話し合う。
「はい、リリア様、今日の授業でわからなかった所を教えてください」
「ニーナ、あなたの頼みならば、もちろんよ。では、行きましょう」
そう言って、オレ達は教室から出た後、廊下にある掃除用具入れの陰に隠れた。そこから、オレ達は教室を見張る事にしたのだ。
「…リリア様、本当にこんなので犯人を見つける事ができるのでしょうか?」
「それはわからないわ。でも、人がいる中でもこっそりと女子の体操服だけを持っていく変態よ。どうやって、犯行に及んでいるか想像がつかないわ」
オレ達がヒソヒソと小声で暫く話していると、
「お、ニーナちゃんと、リリアのがある。しめしめ…」
「ニーナ、誰かの声が聞こえなかった?」
ニーナはオレを見た後に首を横に振る。どうやら、気のせいだったのだろうか。
「ハァ、ハァ、堪らない。この臭い」
教室からやはり、声が聞こえる。オレ達がずっと教室に入るためのドアを見張っていたのに…
これはおかしい。どこかに隠れていたとでもいうのだろうか。いや、ニーナと一緒に人が入れそうな場所は全部一通りに確認した。誰も教室にいなかったはずだ。
「教室の中から声が聞こえたわ。ニーナ、急いで教室に入りましょう」
オレはニーナを見てそう言うと、彼女も教室からの声が聞こえたのだろうか。すぐに高い声で返事をしてきた。
「はい、リリア様。でも、怖いです」
ニーナはそう言えば恐がりだったな。しかし、体操服を持っていくお化けってどんな奴だよ。そんな奴がいるんだったら見てみたいわ。オレは内心、おかしく思いながら、真面目腐った顔でニーナに微笑む。
「私がいるから大丈夫よ。安心して」
「わ、わかりました。お化けじゃありませんように…」
ニーナはオレの微笑みを見て安心したのか、ガタガタとしていた震えはおさまったようだ。オレはそれを確認した後に教室の扉付近まで移動した。すると、大きな男の声が聞こえて来るではないか。
「お、誰もいないぞ。この体操服を持っていけるぜ」
堂々ととんでもないことを言っている人物がいる。それにこの声はどこかで聞いた事があるような気がするぞ。
「うーん、良い香り…」
おい、何が良い香りだ。変態、おまえの正体を見てやる。オレは教室の扉を開けて、中に駆け込む。教室の中にはオレに取って意外な人物がいた。