第15話 扉の向こう側の誰かさん
トイレから急いで出たオレたちは荷物を取りに教室に駆け込んだ。教室に着くなり、すぐに荷物をまとめて帰る準備に入る二人。
…おかしい。どこからだろうか。やはり、オレたちを舐め回すような視線を感じる。気持ち悪いと言う気持ちを超えて、怖い。どうやら、視線を感じたのはオレだけではないようだ。隣の席を見るとニーナも気圧されたように息を吸い込んでいた。
オレは辺りのよう数を再度確認する。だが、やはり、誰もこちらを見ていない。それも、そのはずだった。もう既に生徒は帰宅した後であったため、教室にはオレとニーナしかいない。つまり、視線を感じること事態がおかしいのだ。
ニーナが石のような固い表情で、
「リリア様、早く帰りましょう」
と泣きそうな顔をこちらに向けてそう言ってくる。どうやら、彼女は帰りの準備ができたようだ。オレたちは急いで教室から出ようと扉まで駆けていった。教室から出るために扉を開けようとオレは手を動かそうとした。だが…
突然、オレがとってを触る前に扉が勝手に開いた。突如とした出来事にオレの心臓がすくみ上がるのを感じる。
オレは深呼吸をして、自らを落ち着かせて、扉の向こうを確認した。だが、どうしたことだろうか。オレの視界には誰も見えない。誰もいないだとおかしいだろ…
オレがそんなことを考えていたら、後ろから悲鳴が聞こえてきた。その悲鳴に反応して、オレが振り向くと震えて怯えているニーナがいた。どうやら、あまりの恐怖で目をふさぐことさえできなかったのか大きく目を見開いて固まっている。
オレは恐怖で固まっているニーナの可愛らしいほっぺたを指で軽くつついてやった。すると…
「はっ、リリア様! 扉が勝手に開いたのに誰もいません。これはお化けのしわざですぅ。もう、いやだ。帰りたい」
幼い年齢のニーナにはこのような恐怖は耐えきれなかったのだろう。そういって、泣き出した。
「泣いても、ここから出られませんよ。早く帰りましょう。私がいますから大丈夫ですよ」
そういって、優しくニーナを抱きしめて、泣き止むまで待つ。彼女は徐々に落ち着きを取り戻したのか次第に震えが収まっていく。
オレがニーナを抱きしめていると突然に大きな声が辺りに響いてきた。
「おまえらはなにやっているんだ!? こんな所で抱き合って…」
扉の向こう側から聞こえた声に反応して、ニーナを抱きしめている手に力が入る。オレは誰だと言って、声のした方を睨みつけた。