第9話 学園デビューはままならない
廊下を歩きながら、はじめて踏み入れる。教室に思いを馳せた。オレは教室の扉に手をかける。
手が若干とはいえ、汗ばんでいる。どうやら、オレはけっこう緊張していたようだ。いや、当然のことか。前世、帝王として生きてきたオレには学園に通うことなど考えられなかったのだから…
「待っていたよ。リリアちゃん!!」
教室に豚がいるだと!? いや、親父か。あれ、可笑しいな…
こんな所に親父がいるなんて、ありえない。きっと、目の錯覚だ。一度、教室から出て落ち着こう。扉を閉めて廊下に戻るオレ。
さてと、深呼吸、深呼吸。よし、落ち着いたな。やはり、はじめて教室に入るのは緊張するな。そもそも、オレだけ、また学園室に呼び出されたから、みんなと一緒に教室に入れなかったじゃないか…
よし、扉を開けよう。オレは再び教室の扉を開けて部屋に入る。
「リリアちゃん!! さぁ、お父様と会えて照れているのかい?」
「違うわ!」
あ、やってしまった。いつものノリで親父を張り倒してしまった。教室中がざわめく。そりゃそうだろう。いきなり、入ってきた女の子が見知らぬおっさんを倒したのだ…
最悪の学園デビューを飾ってしまった。教室にいる生徒達からの視線が痛い。もう嫌だ。帰りたい…