第二章
「なあ、なんで比芙美達はこの部活にしたんだ?」
「気まぐれよ。」
「気まぐれかよ。」
「わ、私はあまのっちがいるからだよ!」
そんなキラキラした顔で言うなよ。
「じゃあ、あんたはなんで?」
「ぼ、僕?」
「そうそう、あまのっちは?」
言えない。絶対にいえない、部員が1人もいなかったからなんて……。
「そ…それは、パソコン得意だからね。」
「あまのっちパソコン得意なの!?凄いね!」
「ま、まあな。」
「じゃあさ、なんかやってみてよ!」
「お!そうだ、なんかやって見ろよ。」
……………、終わった…。どうすればいいんだ。最初からすなおに言えばよかったのか。考えてもしょうがない!やってやろうじゃんか!
「よし!やってみる!」
「お~、あまのっちの本気だ!」
え~と、まずは電源をいれて……。
これどうやんの?え…やばい…。わからん。
「どおした新?もしかして、出来ないとか?」
「ギグッ」
「えっ?そんなのあまのっち?」
「えっとその………、」
「あまのっち?」
あ~、もう無理だ!ギブアップだぁぁ~!
「すみません!できません!」
「へぇ~。じゃあ何でこの部活に入ったのかな?」
「部員が1人もいなかったからです。」
「あまのっち……もしかして………。」
もうどんな答えでもこい!真っ正面から受けとめてやる!
「部長になりたかったの?」
花音がおバカ良かった。
「未来っち、多分違うぞ。」
「えっ、そんなの?」
多分比芙美にはバレてるかな。まあいっか。
そうやって、雑談をしているうちに完全下校の時間になったのかチャイムがなった。
「時間だよ~帰ろうよ~。」
「今日は疲れた。……じゃあな~。」
「あまのっちどこ行くの?」
「どこって…家だけど?」
「一緒に帰るぞ新。」
なぜ?なぜ僕があんたらと一緒に帰らなくてはならないのだ。とりあえず理由を聞こう。それがいい。
「なぜ?」
「なぜって、友達だからだろ?ほかに理由はあるか?」
「そうだよ!あまのっち!私達は友達!」
……………。
友達か、久しぶりにそんな言葉を他人に言われたな。
「う~んまあいっか。じゃあ早く帰ろうぜ~。」
「GO-GO-!」
商店街。
「なあ、一つきいて良いか?」
「ん?手短に話せ。」
「なぜおまえらの分のコロッケを僕が払わなくちゃいけないんだ!」
「いいじゃんあまのっち!ここのコロッケ美味しいじゃん。」
確かにこんなにおいしいコロッケ初めてだが、おまえたちの分まで払わなきゃいけないんだよ!
「そこらのファミリーレストランより、ましだろ?」
「確かにそうだけどさぁ。」
はぁ~っとため息を吐いて時間を見る。
「6時半かぁ。」
「ん?どうした新。」
「そろそろ僕は帰るよ。」
「そうか。じゃあな。」
「ああ。じゃあな、花音と比芙美。」
「あまのっちまって。私も方向同じだから、一緒に帰ろ。」
「そうなのか?わかった。」
「比芙美ちゃんじゃあね~。」
「未来っちじゃあね~。」
そう比芙美が言うと僕と花音は足を動かした。
帰り道。
特に変わらず普通に花音と話ながら帰っているが、花音は意外と僕の事を知っているらしくさっきからずっと中学生だったころの話をしている。
「あまのっちは、あの先生のことどう思った~?」
「うーん、普通かな。」
「え~そうなの?私的には言い先生だったよ。」
「そうか?」
なんだか、懐かしい感じがするな。
そういえば、どうでもよかった思い出がたくさん出てきたや。
「僕こっちだから。」
「おう、もうここまできてしまったか。」
「そんなに、しょんぼりすることか?」
そう言い僕は軽く笑った。花音がほっぺたを膨らませてすねている。
「ごめんごめん。」
「もう、あまのっちじゃあね~。」
「じゃあな。」
なんとなく長かったようで短い時間が終わった。
高校行って少しは良かったかななんて思う。
あっ、滝田校長にお礼言いに行くの忘れてた。
明日行かなくちゃな。あっ花音に明日は部活遅れるって言っとくか。
そう思って僕は振り向いた。が、そこには誰もいなかった。
「あれ?花音がいない…。あいつ歩くの早いのか?まあいっか。」
明日その場で言えば良いか。