表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
贄の王  作者: 糸音
最終章 贄たちの王

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

77/83

『理不尽』に殴り返せ

「……もう一度聞こうか。僕と一緒に、新しい世界を作る気はあるかい」

「無いね‼」


 明らかに雰囲気の変わった紅い魔人に、アインが改めて問い直す。

 そんな問いかけに、ギブは堂々と、元気よく指を突きつけた。


「贄にするのも、されんのも! どっちも気色悪ぃからなあ‼」

「それが必要な犠牲だとしても?」

「納得した奴が一万人と一人いりゃあ否定はしないがな‼」


 アインの突きつけを、ギブはおどけて笑い飛ばした。


「とりあえずアイン君反対派の代表、リリアせんせーは開放してもらおうか!」


 戦いを前に、生気に溢れるギブを初めて見て、セオは初めて安心感を覚えた。

 無数の嫌な選択肢の中から何かを選ぶ姿はない。

 自分で見つけた自分の意思に、しっかりと足を付けて立ちはだかる魔人の姿がそこにある。


「……どうやら、君とは相容れないみたいだね」

「残念?」

「ああ」


 アインが自分の元へと、縛られたリリアを引き寄せてから続ける。


「残念だ」


 アインが上空から糸をレーザーのように飛ばし、ギブを襲う。


「振り落とされんなよ!」

「うん!」


 ギブが自分の体を変化させ、セオが乗れる窪みと、しがみつくための持ち手を背中に作り、おぶるようにセオを背に乗せた。


 セオが持ち手を強く握ったのを確認し、襲い来る糸の流星を、右に左に大きく躱して駆け抜ける。


 ならばと、アインが糸を何重にも交差させ、格子上に組み上げたワイヤーを、ギブに向かって勢いよく飛ばした。

 空間を刻みながら迫りくる糸。

 迫りくる糸のレーザーに、セオが思わず体を強張らせるが、


「あらよっとお!」


 ギブが糸を這わせる地面ごとひっくり返し、直前で糸の軌道を上空へとずらす。

 せりあがった地面を目隠しに、そのまま地面をぶち破りながら、アインに向かって飛び蹴りを食らわせた。


「ぐう?!」


 死角からの一撃に備え、自分の周囲に切断の糸を這わせていたが、その糸ごと踏みつけにしながら、アインの腹に強烈な一撃がさく裂する。


 城の外へ弾き飛ばされるアイン。


 今のうちにリリアを解放しようと、視線を宙に浮いたリリアへ向けるが、


「ああっ?!」


 吹き飛ばされたアインの後を追うように、リリアがアインの飛ばされた軌跡を追って、白の外へ消えていく。

 どうやら、リリアの体に、自分をつなぐ糸を巻き付けていたらしい。


「糸で結ばれた男女……、なんかエロいな」

「ギブ……」

「じょーだんじょーだん。まずはリリアの糸を切らなきゃなあ?」


 セオの視線におどけて返しながら、セオから受け取った剣を構えなおし、城の外へと飛び出した。


 リリアを腕に抱えながら、アインは肉薄するギブに向かい直る。

 飛ばされたのは、国民たちが住まう住宅街。




「アインさん、止めて⁉ 中に人が!」

「ギブなら見捨てないだろ?!」




 アインが糸を住居にくっつけ、そのまま上空から迫るギブに投げつける。

 避難できていない者が残る家を、まるで砲弾のようにギブに向かって放り飛ばした。




「こっすい攻撃しやがって!」




 少しだけ苛立ちを顕わにしたギブが攻撃を真正面から受け止め、家に触れる。

 家を瞬時に分解。現れた住民たちの服に触れ、大きなパラシュートに変化させ、宙に逃がす。


 何度も糸をひっかけて、ギブに向かって住居が飛んでくる。


「安易に飛んだのはまずったなあ」


 飛ばされたアインを追って飛んだのはまずかった。

 空中では地面に触れられない。ギブが得意とする、万物の形を変える異能が存分に発揮できない。

 向こうもそれを理解しているのか、じりじりと距離を取りながらも、ギブを地に付ける隙を与えないよう、立て続けに波状攻撃を浴びせてくる。


 リリアに加え、街にいる人たちも人質に取られれば、流石のギブも自由には動けない。




「あーあ‼ せめてリリアさえ奪い取れたらなー‼」




 防御と救出と同時にこなしながら、ギブが急に芝居がかった叫び声をあげた。

 セオの表情が引きつるも、アインもギブの狙いが分からず、困惑するばかりだ。


 街を飛ばしながらも、その意味について考えている最中、




「っ?!」


 リリアを縛る糸が急に切れ、自分の元からリリアが離れていく。

 剣で切ったような、糸の断面。


 リリアが飛ばされた方向へ振り返ると、


「アイン、暴走するのはそこまでだ……!」


 体が再生したアイゼンが、リリアの体を抱え、アインに相対するのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ