表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
贄の王  作者: 糸音
最終章 贄たちの王

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/54

王子アイン

「ギブ……!」


 穏便に、なんていった矢先この展開だ。

 心配そうに身を寄せるセオを庇いながら、臨戦態勢に入るギブ。

 現れた魔人が攻撃の意思を見せ次第、反撃を繰り出す準備はできている。


「……」


 だが、ギブが自分から仕掛けてこない様子を見た魔人が、携えていた剣を取り出し、目の前に置いた。


「……?」


 目の前の魔人の敵意の無さに、ギブが警戒を解いて首を傾げた。そんなギブに、現れた魔人が冷静に語り掛ける。


「そう身構えないで頂きたい。そなたに事を荒立てる気がなければ、私もあなたをぞんざいに扱う気はありません」

「もしかして、『話し合い』希望?」

「ええ、いかにも。私はアイゼン・レリンガルド。ここレリンガルド国を治める王です」

「お、王様?!」


 城門に来るなり現れたのは、この国のトップだ。

 突如として現れた大物に、セオも思わず驚きの声を上げた。


「俺はギブ。こいつはセオ。どっちも元贄。この国が贄を保護してるって聞いてさ。どんなもんかと思って見に来たわけ」

「は、初めまして。よろしくお願いします」


 セオが緊張で強張りながらも頭を下げると、「こちらこそよろしく頼むよ」とアイゼンが魔人化していないほうの手を差し出し、握手を求めた。

 優しい握手が交わされ、その様子を見守っていたギブが、アイゼンへ問いかける。


「ところで王様君。贄を保護しているっていう噂は本当?」

「ええ。いかにも」


 よどみなく返したアイゼンに、「ふーん」とギブが鼻を鳴らす。


「下流とか、中流とか関係なく?」

「下流の者には元々犯罪者の方もおります。全員とはいきませんが、素性を調べ、認可が下りた者にはこの国での永住権を与えております。ご希望でしたら、保護区の様子を見ていかれますか?」


 どうやら向こうは、ギブたちのことを友好的に迎え入れるつもりのようだ。

 願ったりかなったりではあるのだが、あまりにことが都合よく進むため、ギブが探りを入れようと質問する。


「いいの? そんな簡単に招き入れて。俺、あんたよりも強い魔人だけど」

「でしょうな。異能以前に肉体の質が違う。この国の魔人は私一人。万一にでも戦闘になれば、私は瞬く間に地に伏すことでしょう。しかし、あなた方に敵意がないなら受け入れる選択がある。互いにとっての最善を尽くすことが、今私が国の為にできることです」

「……」

「もっとも、あなたがわが国民に危害を加えるつもりであれば、精いっぱいの抵抗はさせて頂きますが……」


 自分よりも強い相手にものおじすることなく、目の前の王はギブに交友と抵抗の選択肢を突きつけてきた。

 いざとなれば身を粉にしてでも国を守ろうとするその気概が、ギブにとっては良く映ったらしい。

 ギブは掌を見せ、「ごめんごめん。こっちにもそんな気はないよ」と謝罪を入れる。


「正直、俺もセオも行く宛がなくて、居場所探してたんだ。ここがそうだったらいいなって」

「そうでしたか。でしたら、是非この国を見ていかれてください。詳しい者に案内させましょう」

「詳しい者?」


 ギブたちが疑問符を浮かべながら顔を見合わせたところで、城門の方から一台の車が走ってきた。


「父上! ご無事ですか?!」


 屋根のない車でこちらに向かってくるのは、王と同じく気品あふれる正装に身を包んだ、見目麗しい青年だった。


「誰?」

「倅です」

「せがれぇ?」


 ギブが首をかしげたところで、やってきた人物がアイゼンの側に到着した。


「客人だ。噂を聞いて来られたそうだ。挨拶をなさい」

「え? あ、失礼いたしました。客人だとはつゆも知らず……!」


 恐らく魔人がいるとの報告を受け、父の身を案じてきたのだろう。 

 それが到着してみれば、警戒していた魔人は王直々に客人として扱われているのだから、唖然とするのは仕方ない。


「私はアイン・レリンガルド。アイゼン王の実子であり、この国の第一王子です」

「オッケー、王子君ね。俺はギブ。こっちはセオ」

「セオです。よろしくお願いします」

「うん。よろしく」


 セオが頭を下げると、アインが手袋を取って手を差し出してきた。

 恐る恐るセオも手を差し出すと、アインが優しく手を握り返す。


「俺とも握手する?」

「もちろん」


 ギブの問いかけには手を差し出して答えた。

 ギブも加減をしながら握手を交わすと、少しだけ上機嫌になった。


「噂を聞いて、この国に来られたらしい。アイン。案内してあげなさい」


 アイゼンが告げると、アインはそれを聞いて嬉しそうに「はい!」と答えた。


「後ろの方へお座りください。レリンガルドについて、私が案内しましょう」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ