表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
贄の王  作者: 糸音
第一章 贄と魔人の門

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/51

『万』の魔人

 

 銃弾の雨に真正面からぶつかりながら、少年は王の率いる群衆に向かって駆け出した。

 無数の弾を浴びせられ、体から火花が飛び散るも、少年の体には傷一つつけることはできない。


「ひっ……」


  距離にして50mは離れていたはずだ。その距離を一瞬のうちに詰められ、衛兵達の顔が恐怖でひきつる。

  そんな衛兵の顔面めがけて、少年は腕を凪いだ。

  一撃をもろに食らった衛兵は体が消し飛び、同直線上にいた衛兵たちは、余波の衝撃で、塵のように空中へ弾き飛ばされた。


  この一撃で、8割ほどの衛兵達はパニックになり、逃走を始めたり、混乱しながら銃を乱射し始めた。


  統制が崩れ混沌とする戦場に、左腕が魔人化した男が少年に向かって突っ込んできた。


「衛兵達は下がれ! 魔人は魔人でなければ殺せん!」


  男は小さく呪文のような言葉を唱えると、黒い霧のようなオーラが集まり、剣となって左手に顕現した。

  顕現した剣を少年の肩をめがけて振り下ろす。 何もせずに正面から食らった少年の体にヒビが入り、地面には衝撃のあまり、大きな亀裂が入った。


  が、


「サンキューな。不老不死って言うもんだから、どうぶっ殺せばいいか考えてたんだけどよぉ」


 少年は肩にめり込んだ剣の刃を手で掴むと、それをみるみるうちに、それを別な形へと変貌させていく。


「何も考えなくていいってことだよなぁ!」


 剣はツルハシとなり、その一振りを頭に食らった魔人は一撃で絶命した。


「貴様ぁ‼」


 その光景を見ていた魔人の1人が激昂し、少年に向かって手をかざすと、手から大きな炎の波が繰り出され、濁流のように少年を飲み込んだ。


「……」


  近くにいるだけで喉を焼くような灼熱の波に飲まれても、少年はびくともしない。 それどころか炎に手をかざすと、少年の手に炎が収束し、圧縮された炎が槍の形になって、少年の手の中に顕現する。


「なん――」


 なんだあれは、と言い切る前に、少年が投げた炎の槍が魔人の顔面を貫いた。

 貫いた槍はそのまま岩肌に突き刺さり、その衝撃で圧縮された炎が解放され、辺りに爆炎を撒き散らす。


「なんだ?! やつの異能は何なんだ?!」

「……やつの手に何も触れさすな!」


 魔人になれば、強靭な肉体に加えて、何らかの異能を授かる。その肝心の異能がわからず、混乱する魔人たちに、王が叫んだ。


「おそらく、触れたものの形を変える異能だ! 触れられたら最後、やつにどのようにされるかわからんぞ!」

「んー、多分正解」


 王の忠告に、少年が指を鳴らした。


 今まで贄を捧げて魔人になってきた者達だが、それで授かる異能は、炎を操る、無から剣を出す。念力でものに触れずとも何かを動かせる、など能力がシンプルなものが大体だった。


 少年が授かったのは『触れたものの形を変える力』

 その手で人に触れれば、思うがままの形の肉塊にできるし、相手の得物に触れれば自分の武器として作り替えられ、炎を無力化し、地形を変える。


 魔人となり授かった能力の中でも、これほど応用の利く異能は存在しなかった。


「これが、『万』の門の力……」


 歴代最強の異能に、並みの魔人では傷一つ付けられない最強の肉体。

 贄として消費されてきた下流の人間が、世界を支配する魔人達の頂点に君臨した瞬間だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ