柴犬さまの青春
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ゴロゴロ。
カッ。
ドカアアアアアアアアっ!
雷の音が聞こえる。
何度も。
何度も。
大雨の中何度も雷が鳴り響いた。
その一つが村の外れにある木に落ちたみたいだ。
あ~~燃えてる。
誰か消防車呼ぶだろう。
それはとある深夜だ。
寂れた村の奥にある周囲に似合わぬ洋館が有った。
高度経済成長期に乱立された洋館の一つだ。
その洋館は何度も持ち主を変え最後には一人の老人の手に渡った。
一人の元天才科学者の老人の手に。
「まあ~~実際は眉唾な研究で学会を追われた老人ですがね」
うん。
元天才科学者なんて言うのも馬鹿らしい。
タダの爺で良いだろう
「助手何か言ったか?」
「いえ先生の素晴らしい研究は何時か世間に高く評価されるでしょう」
「そうだろうそうだろう」
うん。
ボロい仕事だ。
助手なんて仕事は。
適当に爺をほめれば給金を貰えるし。
「古今東西それは求められた」
「へいへい」
近所に住んでた大学生の兄ちゃんが今の爺だ。
他人が青春を謳歌してる時に勉学に励んでた人。
というか美形なので何時も美人逆ナンパされてたな。
無視してたけど。
近所の子供には愛想がよかったけど。
特に女の子。
いや。
良いけど。
母の話では昔は綺麗なお姉さんが好きなマセガキと聞いたが。
同級生にモテてたくせに無視してのぼせ上ったとか。
まあいいや。
それでまあ~~。
勉強にのめり込み過ぎて若くして最年少天才科学者になった人。
直ぐに転落したけど。
「失われた時を取り戻す方法を」
「タイムマシンでしょう?」
「……」
沈黙してます。
いや良いけど。
「失われた青春時代を取り戻す方法を」
「眉唾発明に精を出さなければ青春を謳歌出来る年齢でしたね」
「……お前助手だよな?」
「貴方の忠実な助手ですが」
「ツッコミきつ過ぎない?」
「雇い主の妄想科学を断念させ学会に復帰して頂くのを目標にしてます」
「お前の雇主は儂なんだが」
「給料が三か月分払ってない人を雇い主とは言いません」
「この発明を使えば億万長者になれるわ」
「え~~」
「これを見ろっ!」
テレビのリモコンでした。
とうとうボケたか。
「何です?」
「タイムリープマシン」
末期だな。
「辞表を出させていただきます」
メモ帳と鉛筆で辞表を書き始める僕。
「待て此れは本物だっ!」
「詐欺師は全員言います」
「なら試してみろ」
リモコンを僕に向ける。
「5分前にタイムリープ起動」
ポチ。
リモコンのスイッチを入れた。
その途端景色が歪んだ。
ゴロゴロ。
カッ。
ドカアアアアアアアアっ!
雷の音が聞こえる。
何度も。
何度も。
大雨の中何度も雷が鳴り響いた。
その一つが村の外れにある木に落ちたみたいだ。
あ~~燃えてる。
誰か消防車呼ぶだろう。
うん?
あれ?
さっき雷が落ちた場所に落ちてる。
あれ?
僕は爺を見ていたよな?
何で外を見てる?
「実験は成功だな」
「まさか本物」
マジかよ。
「これで60年前の過去に戻る」
「博士」
「何だ?」
「是非自分も連れていって下さい」
「よかろう」
「有難うございます」
「その前に此れを暗記しとけ」
分厚いノートを渡された。
はて?「
「過去69年の宝くじの当選番号だ」
「つまり此れで過去の世界で大金を得ることが出来るんですね」
「そうだ」
それから一時間かけて覚えました。
「では過去にタイムリープだ」
この言葉と共に景色が歪んだ。
意識が覚醒する。
蒸し蒸しとした真夏。
体を見る。
小さく皺が無い。
子供時代。
年齢的に言えば小学生低学年。
多分。
ここは学校だよな?
周囲の状況をみて今を把握した。
「どうしたんだ?」
「いや何でもない」
小学生時代の友人だ。
ああ~~そうか。
僕は友人と家で駄弁っていたんだ。
「夏のイベントと言えばっ!」
「プールっ! 泳ぎまくる」
「僕は泳げなくて
「海水浴にスイカわりっ!」
「花火大会だな」
チラッと校舎の外を見た。
小学校高学年になったこの時代の爺が居た。
あ~~。
うん。
複数の女の子を伴って。
鼻の下を伸ばしてるな~~。
あ~~。
分かったわ。
爺がタイムリープマシンを作った理由。
爺。
ロリコンだったんだ。
【しいなの感想】
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