しいなここみのコンパス3
『コンコンパスをやめさせたい』
フカワはシューズの底で床を二回、コンコンと鳴らす。
そのあと必ずパスを出すので、敵に読まれてしまう。
せっかくの身体能力もイケメンも、それでいつも台無しだ。
俺はなんとかその悪い癖を治してやろうと、アドバイスするのだが……
「フカワ……。自覚はしてるんだろう? おまえのそのコンコンパスの癖、治せよ」
「先輩こそそのゴリラみたいな顔を治してくださいよ」
「これは生まれつきだ。生まれつきのものは治せん」
「じゃ、俺も治せません。コンコンパスは俺の生まれつきの癖なんで」
こんな感じでフカワは性格がねじ曲がっている。
ひねくれた性格も生まれつきのもので、治せないのか……
コンコンとフカワがシューズの底を鳴らした。
仕方がないと俺は諦めていた。パスコースさえ読まれなければ問題はないといえる。そしてフカワには天性のセンスがある。人を引きつける、天性のセンスが──
フカワが放った手榴弾を、敵の兵士がパスカットした。
「やーった! フカワくんの手榴弾、とーった!」
敵の兵士はその喜びの言葉の直後に爆死した。
俺は豪快なゴリラダンクで敵兵士12人をいっぺんに吹き飛ばした。
フカワの手榴弾さえキャッチできれば、100人はいっぺんにヤれるのだがなぁ……。
なんだこれ