高橋柴犬さま
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『名人』
「知ってるかい?」
「はい?」
「かつて名人と呼ばれた男の事を」
「名人と言うと御臍で茶を沸かす名人ですか?」
「違うよ居るのかよ、そんな名人」
「居ません」
居たらすごいわ。
「居ないなら言うなよ」
「言いたくなっただけです」
「言うなよ」
「え~~」
「膨れるな、50代独身の男なんぞ可愛くない」
「可愛いって言ってくれる女子いますよ」
「居るのかよっ! すげえなっ!」
ふxふっふっ~~。
「五歳の姪っ子です」
「居たけどっ! 何言わせてるのっ!」
「僕の教育の賜物です」
「姪っ子の両親さんんんんっ! こいつから姪っ子を引き離してっ!」
「冗談ですよ」
「疲れる……」
僕が高橋と名乗る人物に出会ったのは偶然だった。
酷く薄汚れた格好の老人。
その老人に出会ったのは勤め先だった。
定年退職ギリギリで入社した老人。
そうとしか言いようが無かった。
疲れ切った姿。
その姿が実年齢より老けて見えた。
だけど何故か僕と馬が合い仲良くなった。
「名人というと誰です?」
「高橋き名人という男の事を」
その言葉に僕は記憶の隅からとある男を思い出した。
そして眼前の人物が良く似ていることを思い出す。
「まさか」
「そう」
「十六連射で有名な高橋名人っ!」
「そう」
「まさかあなたがっ!」
「そうその高橋名人のそっくりさんだっ!」
「はっ?」
「芸名は高橋き名人だ」
「それ誤字と思ってました」
何か一気に冷めた。
「物真似芸能人としてデビューしたんだが売れなくてな」
「テレビで見た事有りませんが」
「当然だテレビに出れるほど売れてないからな」
それ意味ない。
高橋名人さん。
すみませんでした。
【しいなの感想】
誤字じゃなかった!。・゜・(ノ∀`)・゜・。