表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
瞬発力企画!  作者: しいな ここみ
第四回目『成層圏』
46/132

成層圏から幕田卓馬さま

幕田卓馬さまhttps://mypage.syosetu.com/1131504/



「成層圏ってどにあるの?」


 タブレットを眺めていた小学生の息子が言った。


 せいそうけん?

 あ、清掃券ね。息子が幼稚園の頃、俺の誕生日に作ってくれた券のことか。

 ママやパパのお手伝いをしたい! って意気込んで、下手くそな字で書いてくれたっけ。

 うれしかったけど、なんだかもったいなくて……、結局、全部は使いきれずに、しまったままになってた。


 あれ、どこにしまったんだっけ?


「ああー、アレはね……家の中にあるよ」


 苦し紛れにそう答える。


「え? 家の中!?」


 息子がおどろいった顔でこっちを見た。

 捨ててしまったと思ったのだろうか? そんなわけないだろ、お父さんの大事な宝物さ。


「そうさ、すごく大事なものだから、当然だろ」


「そりゃ大事だと思うけど……」


「放置して無くしちゃったら、お父さんはショックだよ」


「ショックっていうか、たぶん死ぬよね」


「ははは、死ぬ(ほど悲しい)かもしれんな」


「熱くなったり、苦しくなったりしそうだし」


「そう、なくなったら頭がカーって熱くなったり、胸が苦しくなると思う」


 子供の頃に作った思い出の清掃券。お父さんにとってはもちろん宝物だけど、お前にとってもそこまで思い入れがあるものだったんだな。

 そうだ、たしか寝室の引き出しにしまってたんだ!

 久しぶりに使ってみるか。


「よし、持ってくるか」


「なにを?」


「清掃券さ」


「成層圏って、持って来れるものじゃないでしょ!?」


「いや、まだ半分くらい残ってたと思うぞ」


「え? 今って半分しかないの!? でも、オゾン層が破壊されてるって教科書に書いてあったし、そういうものなのかな……」


 環境問題にも言及するなんて、大人になったもんだ。紙で作られた券とはいえ、不必要にゴミを増やすのは良くない。いい心がけだ。


 俺は小走りで寝室に向かう。


 そして茶封筒にしまった『清掃券』を取り出す。


 思い出の券を前にして、はにかむ息子の顔が思い浮かぶ。さてどこを清掃してもらおうかな? お風呂掃除でもお願いしちゃおうかな?


 スキップしながら息子の前に立ち、清掃券を差し出した。


「じゃあ、これで風呂掃除をお願いします!」


 俺の手の中には清掃券。


 俺と息子の宝物。


 息子は首を傾げて、言った。


「え? なにそのボロい紙切れ……」



【しいなの感想】


おどろいった顔いただきました(*´∀`*)


幼稚園児なら『おそうじ券』じゃないのかな(*´艸`*)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
どこまでも勘違いするお父さん。。(>▽<) 幕田さんらしいです。(内容も文も。。。)(^^;) >おどろいった顔 瞬発だから、まあ。。(^◇^;)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ