柴犬さまの夢見がち
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『退魔師』
それは日が暮れ夜闇が辺りを支配する時間。
文明の明かりが夜を照らす時間。
「ママ~~今日のご飯は何~~」
「カレーよ」
「ママ~~昨日もカレーだよ」
「明日もカレーよ」
「……」
死んだ目で歩く我が子の手を引く主婦。
そんな日常。
だが一歩。
一歩。
人知れない闇の奥。
日常とは切り離された世界。
そこに潜む物が居る。
闇に。
そう闇に。
僕の存在を察知した闇。
闇に潜む者達が蠢き始めた。
闇を見通す瞳が此方を捕える。
「出たな妖魔達よ」
僕の言葉に、ゆらりと立ち上がる者達。
「人の理を乱す邪悪な輩よ僕が相手だ掛かって来いっ!」
フシャアアアアッ!
絶叫を上げ僕に襲い掛かる刺客。
刺客に対し僕は拳を振り上げる。
妖魔と僕の戦いの結末は如何にっ!
「ママ~~あの人」
「しっ! 見てはいけません」
「でも猫と喧嘩してゴミバケツの中身を漁ってるよ」
「ホームレスよ。相手にしたら駄目」
今の僕の現実を突きつける幼女の言葉にへこむ。
うん。
泣きたい。
聖なる戦士の僕の現状を。
良い高校を出て一流大学に進学した僕。
一流企業に就職。
する筈だった。
「聖戦士の僕が就職した暁には」
等と言わなければ。
最終面接を落とされた僕は就職出来ず自宅警備員に転職。
生活保護を受ける事になった。
まあ直ぐ止められたけど。
生活保護を止められた僕は無事ホームレスにクラスチェンジした。
「という感じです」
猫に身の上話を話したら何故かゴミバケツを譲ってくれた。
情けが染みるな~~。
【しいなの感想】
猫に打ち明けるラストが情感あって良きでした(´;ω;`)