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しいな犬
『犬のように◯された男』
「……やめろ! やめてくれ! 何をするんだ!」
男が泣くような声でそう言っても、女はまるで聞こえていないように手を動かした。
「やめろやめろやめてくれ……! 一体何をするつもりなんだ!?」
縛られているわけでもないのに動けない。
細長い台の上に寝かされた男の、その裸の胸の上を、女の薬品に塗れた手が動き回る。
怪しげな煙と香りが薄暗い部屋に漂っている。
「やめてくれぇー! ……そっ、それは!?」
女が何かを取り出した。
殺した鳥から毟り取った羽根だった。
「それで何をするつもりだ!? ひいぃぃぃ!」
女の口角が愉しげに吊り上がる。
羽根が、男の、乳首をくすぐった。
「な……なぜ……そんなことを?」
女がようやく口を開いた。
「ふふ……。身も心も癒していただくためですわ。わんちゃんはみんな、これが大好きですのよ」
男の口から遂に呻き声が漏れた。
「わ……、わっふぅ……ん!」
犬用アロママッサージ店『わんだふぅ』では人間の客も受け付けている。
男は犬のように癒された。