大野 錦さま
大野 錦さまhttps://mypage.syosetu.com/1970422/
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私の知り合いに大型トラックの運転手をしていた方がいる。
今はまったくの他の業種のお仕事をしているのだが。
ある時、私は「なぜトラック運転手を辞めたのか」と質問をしたことがある。
「視力検査がギリギリの合格ラインだったから」
「えっ、眼鏡かけてますよね。ちゃんと視力大丈夫そうじゃないですか?」
「あっ、わりっ。大型車の視力検査って色々あるんだ。こう3本の棒あって真ん中が上下に動くのをピタリ合った時にボタンを押すんだけど、あの検査がどうしても苦手でね。これはあぶないな、と思ってドライバーを辞めたんだ」
そう言って、人差し指を上に突き出し、それを棒に見立てて、腕を振って検査の説明をする。
この方は大型二種免許を持っている。つまりバスの運転手にもなれる。
もちろん普通車も二種である。ついでに大型二輪まで持っている。
「へ~、大型車ってそんな検査があるんですか~。なんか瞬発力が必要そう」
「大型特殊とけん引の二種も取ってのフル免許を目指していたけど、目の関係であきらめたよ」
「全部埋める人とかって、やっぱいるんですかね?」
「俺の知り合いにうまく順序立てて免許の所得をして、ほとんど埋まってる免許証を持ってるやつがいるな。もうここまでくると意地だね」
「すごいですね、それ!」
確かにこの方との会話は楽しい。
「瞬発力」があって楽しい話題を振ったり、こっちが何か言うと絶妙なツッコミもする。
なんとなくだけど、大型トラック運転手をやっている(やっていた)人たちって、「瞬発力があるな~」と勝手に思っている私なのであった。
おしまい
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【しいなの実体験】
じつは深視力検査は何度でも、まぐれ当たりするまでやり直させてくれます。