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瞬発力企画!  作者: しいな ここみ
第九回目『大型トラック』
107/132

Ajuさま

Ajuさまhttps://mypage.syosetu.com/1971684/



『高速道異譚』         Aju



 高速道路上で、時たま起こる大型トラックの追突事故。

 居眠りしてただと?

 前をちゃんと見てなかっただと?

 プロ意識が足ンねーんだよ!


 安全運転に関しては一家言ある椎名小々郎はずっとそう思っていた。

 その現象に自分自身が出くわすまでは。


 報道されるようなことがないからあまり知られていないが、その高速道路上には時おり特異点が現れる。

 道路上にワームホールが出現するのだ。

 そのワームホールは、成層圏につながっている。


 その日、運悪く椎名はそのワームホールに走り込んでしまったようだった。

 突如、目の前が暗くなる。

「なんだ?」


 いや、暗くなったんじゃない。濃い藍色になったのだ。

 フロントガラスの下方に丸みを帯びた青い地平線が見えた。

 大型トラックの窓には旅客機のような気密性はない。

 一気に気圧が下がり、運転席が冷え、空気が薄くなる。

 胸が苦しくなり、頭痛がして、椎名の意識が遠くなった。


 トラックが成層圏にいたのは、ほんの1〜2秒のことで、すぐにまたワームホールを通って高速道路上に戻った。

 だが、高速道路上に戻った椎名のトラックのすぐ前には、ハザードランプを点滅させた別のトラックの姿があった。


「一瞬だけ成層圏に行ってたんです。」

 日本の警察は、そんなわけのわからない話を調書に書くわけにはいかない。

「夢を見てたんですね? 居眠りをしてたってことですね?」

「居眠りなんか‥‥」

「夢見てたんなら、居眠りでしょうが。」


 その時、ぶつけられた方のトラックの運転手が椎名の耳元でささやいた。

「居眠り認めちゃいなさい。都市伝説としてその話あるけど、今言っても薬物疑われるだけですよ。幸いぶつけられた私の方も大型トラックだったから、大きな被害は出てない。物損だけです。保険会社の方もそれで丸く収まります。」

「‥‥‥。」

 椎名は唖然として、そのトラックドライバーを見つめた。


「それじゃあ、まあ、物損だけですし。あとは当事者同士で話し合ってください。」


 警察が引き上げたあと、そのトラックドライバーは椎名の背をぽんと叩いた。

「私もね。10年前、成層圏に行っちゃったんですよ。息できなかったでしょ?」

 椎名は目を剥く。

「あんときゃあ、わかってもらおうと必死だったが‥‥。結局、呼気測られて尿も採られて、何も出なかったんで居眠りと決めつけられたあげく、過重労働の疑いで営業所にまで行政の査察が入って‥‥。私は精神病院へ行くように言われて、解雇されたんですよ。」

 そのドライバーは情けない表情を見せた。


「だから‥‥。あんたもヘタに騒がない方がいい。そうすりゃ、保険金も下りるし、免許も点数が付くだけで済む。」


 成層圏へ続く高速道路上のワームホール。

 それは一部のトラックドライバーの間でだけ語られる「都市伝説」でしかない。


 表には、けっして出てこないのだ。




        了


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

この物語はフィクションです。

‥‥‥‥‥‥‥‥

フィクションですってば!


【しいなの感想】


そうだったのか!Σ( •̀ㅁ•́;)


みんな、バカにしてごめんm(_ _)m


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