偉大なる父
父から呼び出しがあった。
というのも仕事が落ち着いたから家でゆっくり食事をしたいとのこと。
自分と母と、弟と妹と、各母親
それと各付き人などなど
国王という立場であるため、あまり父とは会うことができない。
単純に忙しいし、王としても優秀と評判だそうだ。
時間になると食堂にみな集まる。
「おー、みんなよく集まってくれた!やはり家族の顔を定期的に見て元気をもらわないとな」
そういって家族団欒が始まった。
といっても、弟や妹は母親が違う。
いわゆる側室ってやつだろう。
別に仲が悪いわけではないが、弟が3歳、妹が2歳なので、中身がおっさんの自分からしたらどう接していいかがわからない笑
あともう一人弟がいるらしいが出席はしていないようだ。
病弱らしく一度顔を見たことがある程度だ。
別にあってはだめとか病気がうつるとか言われているわけではないけど、会いに行く理由もない。
普通の子供なら会いに行ってなんとかごっことかで遊ぶのかもしれないけど…
そんなことは一切ない。
大人は大人で談笑しているが、ほぼ赤ちゃんと差し支えない子供とはそう簡単になじめないのでもくもくと食事をとっていた。
「そういえばカイン、最近魔法を勉強をしているんだって?」
にやっと笑ってこっちを見ている。
怒っている様子ではなさそうだ。
王家の人間が魔法を勉強するなとか言われるかと思ったけどそんなことはなさそうだから素直に答えてみる。
「はい、お父様。まだまだ始めたばかりですが、楽しく自由にやらせてもらってます。」
「そうかそうか。楽しくやれているか。子供のうちは何でも好きなことをやるといいさ。」
「はい、ありがとうございます。」
「あまりお前たちにかまってやれなくてごめんな。落ち着いたら遊びにでも連れて行ってやろう。」
そういえば赤ちゃんの頃は俺しか子供がいなかったし、旅行も何回かいったな。
なんだかんだ父親なんだな。
「そういえばカイン、魔法についてだが、今度高名な魔法使いが訪ねてくるんだがお前あってみるか?」
『え?』
思ってもみなかったチャンス到来だ。
独学には限界があったから誰かにいろいろ聞いてみたかったんだ。
「ありがとうございます。ぜひお願いします。」
「わかった、時間は設けるからあとで連絡する。」
この世界にきて久しぶりにわくわくしている。
スローライフとはいかないけど、好きなことに打ち込めるのは幸せだと思う。
「グレッグはやはり出席は難しそうか?」
父と執事の会話が聞こえる。
「やはり体調がすぐれないようでして…」
「しょうがないさ、あとで顔を見に行ってやろう」
もう一人の病弱の弟の話のようだ。
詳しくは聞けないし事情を知っているものが少ないらしく、謎が多い弟だが、病弱な体を治すためにいろいろと父も奔走しているらしい。
自分でいうのもなんだがあまり手がかからないからな、俺は。
と思うことにしている。
気が向いたら会いに行ってみよう。とは思うが自分の中での優先順位は低い。
やはり今は魔法だ。
魔法の可能性に胸を躍らせる、久しぶりに楽しいと思えることをやっている。