いまさら転生2
「ん…?」
目が覚めた感覚がある。
というか、事故にあって死んだんじゃなかったか?
ここはどこだ?
およそ病院とは呼べないような雰囲気の、真っ白な空間に一人で
いや、人のような形をした何かがいるから2人か?
「おはよう、目が覚めたみたいだね」
「おかげさま…で?」
「そんな警戒しなくていいよ。ここは安全さ」
と言われても、見知らぬ人とはそう簡単に打ち解けられるものではない
「まずは自己紹介をしよう、私はいわゆる神という存在だ」
『ふむ、やはり事故でまだ病院にいるようだ、そしてこれは夢だ』
自分で自分のことを神なんて言うやつがいる以上これは夢か精神異常者との対面だ
より警戒を強めないといけない。
「そんなに身構えなくてもいいよ。精神異常者じゃなんかじゃないさ」
「先ほども言った通り神だからね、君の考えていることもわかるさ」
『そんなことを言われてもすぐにはいわかりましたとはならないだろ…』
と心の中で突っ込みを入れるも…
「それもそうだね」と受け答えされる始末
どうやら心が読めるらしい
「西条良太、35歳、独身」
おっと、ここにはコンプライアンスの概念がないのか個人情報がダダ洩れのようだ。
「君は深夜に車にはねられて死亡した。で本来はそのまま次の人生を歩んでいただく。いわゆる輪廻転生をするんだけどね…」
「たまたま君のことが目に付いてたまたま見ていたらかわいそうな結末だったんでちょっとサプライズをしようと思ったわけさ」
『それがほんとならとんでもないことを言っている、いやほんとじゃんかったとしてもとんでもないことか?』
「で、君たちの世界の概念でいうところの異世界転生をしてもらうんだけど、なんと今までの知識や経験はそのまま残したまんま、第二の人生スタートとなるわけなんだよ」
『おいおい勝手に話を進めるな』
「ふつうは死んだら次はどこの正解でどんな人生を送るかなんてわからないし、完全ランダムなんだけどね、神様の粋な計らいということで特別に異世界転生をさせてあげようというわけさ」
「もうめんどくさいから普通にしゃべるけどさ、なんで俺なんだ?」
「それはさっきもいったけどたまたまだよ。神様の気まぐれ」
「そんなことしてもいいのか?」
「まぁ、神様だからね、多少は許されるさ。面白おかしく生きていたいのさ」
「そうか、それであればいわゆる異世界転生後はスローライフを送りたいな…」
「ごめん、それは約束できない」
「なんでだよ!」
久々に語気を荒げてしまったが、神様ならそれくらいやってくれよと思う。
「んー、正直いうとね、異世界転生とか記憶を持ったままとかやるとさ、力を使っちゃうんだよ。で、僕も神様としての仕事もしなきゃいけないから余力を残すわけさ。だからどんな人生を送るか、送れるかは君の運にかかっているといっても過言ではないのさ」
「まじかよ…ていうかそれなら異世界転生じゃなく自分が生きていた世界でそのまま転生させてくれよ」
「それはできないさ」
「なんでなんだ?」
「君たちの世界でいう魂という概念があるだろう?あれの数が世界単位で決まっている。」
「世界単位?」
「異世界転生なんかもそうだけど、並行世界というのかな?無数に存在する世界で各世界ごとに魂の数は決まっていて、それは死んだら次の世界へと移り行きいろんな世界を回っていずれまた同じ世界に戻るという一方通行の世界なのさ」
「だから次は別の世界になると」
「そういうこと。ほんとはその時に記憶だなんだって抹消して一からやり直してもらうんだけど、とくべつにたまたま神様の粋な計らいで記憶を持ったままにするということさ。」
「わかったよ、で次はどんな世界なんだ?」
「君が死ぬ前に読んでいた漫画のような、剣と魔法と魔物と冒険が楽しめる、そんな世界さ」
転生物のド定番みたいなべたなヤツなんだな…」
「そのほうが人生プランは立てやすいでしょう?まぁ、すきに生きてすきに死んでくれ。」
「神様にしてはひどいことを言うな。」
「まぁ、君たちのもとの世界でも70億人ほど、そして数は違えど数億人単位で人が暮らす世界が無数にあるわけだからな、転生後の人生まですべて面倒見切れないのさ。だからこの一回限りの転生ということ。死んだら終わり、ね?」
なんか説得されているような気がする…
「そろそろ異世界転生が始まる時間だ。そうそう、いわゆる特殊能力が1つついた状態でスタートもできるようにしたから、今までよりも派手な人生になるさきっと。」
「スローライフしたいって言っていいるのに派手な人生にしないでくれ…」
「そして、特殊能力は条件を満たせはあと2つまで持てるようにするから。その条件を満たしたらまた声をかけるから楽しみに人生を謳歌してくれたまえ。」
はぁ、もしこれが夢で自分が病院のベッドで見ているとしたらとてつもなく悲しい夢だな…
そしてこれが本当だとしても新しい人生といわれていきなり謳歌はできないだろう…
いいんだか悪いんだかわからない…
いろいろ頭を巡らせていると意識がだんだん遠くなっていく…
本当に異世界転生するのか、それとも目が覚めたらベッドの上なのか…
どっちもうれしいような、悲しいようなそんな複雑な気分で目が覚めるのをまった…