いまさら転生
大学卒業して入った大学がまさかのブラック企業で1年で体を壊した。
それから職を転々としながら体調回復を目指していたら今度は母親が病気で亡くなった。
母が亡くなった後の父は定年退職までは頑張っていたが、その後は見る影もなく元気を失っていった…
とうとう認知症になり施設に入ることになったが、施設代もばかにはならない。
当然結婚なんてする余裕もない、ひびの暮らしだけで精いっぱいだ…
「はぁ、いつまでつづくんだ…こんな生活…」
派遣で仕事をこなし、休みの日はバイト
それでも自分の生活と施設代でいっぱいいっぱい。
自由に使えるお金なんてほとんどない。
自由な時間もほとんどないが、たまの休みは漫画喫茶に行き漫画を読む程度
ひどいときには古本屋で立ち読みなんかをすることなんかもある。
漫画を読んでいるとき、いろんな漫画の主人公に心を奪われているときが唯一現実を忘れられるとき…
「っと、もう帰って寝ないと、明日も仕事だ」
読みかけの漫画を棚に戻し家路にとついた
季節はもう冬…
雪が多く降る地域なのに今年は雪が少ない…
路面も解けた雪が凍ってつるつるに滑る状態だ。
気を付けて歩かないと、滑った時に踏ん張るだけでも、筋肉痛になってしまう。
気づけばもう35歳
そんな些細なことで体を痛める年齢だ…
生活をラクにするにはどうしたらいいか?
時間があると毎回そんなことを考える。
いろんなことを考えながら歩いていると、やはり父の存在が重くのしかかる。
死ねば楽になるのに。
毎回そこまで考えて、たった一人の肉親に対してそんな感情を抱く自分にも嫌になる。
いつもよりも風が強い、気づいたら雪も降ってきて視界が悪くなってきた。
「早く帰ろう…」
早く歩き出したその時、突然のクラクションが鳴り響く
スリップした車が突っ込んできたが、考え事をしていたため周りが見えていなかった。
『イヤホンしながら歩くもんじゃないな』とかそんな馬鹿なことを考えている
『やばいな、おなかがあったかい…』
血が流れてきているのを感じる…
『寒い…』
そのまま気を失った…
直感的にこれは死ぬんじゃないかと思った、いや思う間もなかったか…