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15話 意外な一面を知れたりする

前話のヒロイン視点です!

「うるせぇーよ!とおる!お前がミスってんだよ!」


グラウンドで遥くんがそう叫ぶ。少しだけ不満そうな顔をしているけど、楽しそうに友人に声をかけていた。


男の子同士の時はあんな感じなんだ…。


私は率直にそう感じた。ひなに話しかける時とも私に話しかける時とも違うちょっとだけ雑な感じ。それが少し羨ましい。


「結衣、あんた見すぎ…。そりゃ体育被って嬉しいのは分かるけどさー。」


「い、伊織!そういうんじゃなくて、なんか新鮮だなーって思っただけ!それにしても、男子のサッカーって荒いんだね…。」


あっ…!危なくない…?怪我してもおかしくないと思うんだけど…。


遥くんも結構激しくディフェンスを受けてちょっと痛そう…。

てか意外と上手い…意外っていうと失礼だけど。…前見にくくないのかな?


「男子のサッカーが荒いっていうか…私たちが見てるからじゃない?特にあんたが。」


伊織に指摘されて周りを見てみると確かに結構な人数の女子が見てる。個人で練習してる人もいるけど、だいたいは試合観戦をしている。


「へぇー…やっぱりそういうもの?でも去年より全然激しくない?去年も私普通に男子と体育被ってたけど…。」


「そりゃあ結衣が去年より熱心に見てるからよ。前だったら興味もなかったのに、遥くんのこと見ちゃってさぁー。他の男子も気合い入ってるんだから。」


「そ、そんなことないよ!.だって男の子の友達なんていなかったんだもん…。ちょっとは気になるっていうか…。」


ていうかチラチラと顔が見えてるのも気になる…!ほんとに隠す気あるのかな…。


「でも結衣が夢中だから私も気になってきちゃったけどさ、正直…かっこよくね?いやはっきりは見えてないよ?でもさ、かなり良さげなのはわかる…!」


「伊織…私別に遥くんの顔がどうとかそういうことじゃないからね?もちろんかっこいいとは思うけどさ、本人理由は分からないけど隠したがってるし。その…あんまり言わないであげてほしくて…。」


最初も見られたくなさそうだったし、せっかく最近少しずつ見せてくれるようになったから邪魔したくないと思ってしまう。


「わかってるよ、変に私たちが絡んで迷惑かけたりしたくないしさ。和泉は気づいてもないから大丈夫、あっちで本気でフットサルの練習してるから。あ、試合終わったみたいだよ。」


伊織が指さす方を見ると試合が終わって遥くんは友達二人とグラウンドを離れて行った。


なんか距離近くない…?男の子ってみんなあんな感じ?いや気にすることでもないんだけど…。


「向こうの試合終わったってことは私たちが見られる番ってことだよね…。やだなぁ…絶対じろじろ見られるよ。」


少しだけ視線が嫌な時がある。特に体育の時。


「まぁそのスタイルだったら宿命みたいなところはあるけどねぇ…。見るなって言ってもどうせ見るんだから。」


「わ、分かってるけどさぁ…恥ずかしいものは恥ずかしいし、嫌なものは嫌なんだもん。」


遥くんが顔を見られたくないっていうのも、もしかしたら似たような感じなのかもしれないなって思う。


「不躾に見てくるような連中はどうせ何回断ってもしつこい連中と同じだもん、もう諦めるしかないよ。…ていうか彼のところ行ってこなくていいの?」


「え、いま!?いやだって…学校で話しかけたりしたら迷惑だし…。私と話してたら変な噂とかにならない…?」


優しいから嫌がったりはしないだろうけど…学校でまで負担はかけたくない。


伊織はそんな私の考えを知ってか、にやにやと楽しそうに笑っている。


「いまがチャンスだと思うんだけどなあー、それにちょろーっと様子みてダメそうなら引き返せばいいんだよ。一人でいるかもじゃん?」


そのまま伊織に言われるがままに私は遥くんの向かった方へと行ってみる。グラウンドからギリギリ死角になっているような水道の近くだ。


最初は二人で座って話していたけど、すぐにお友達が校舎へと入っていき、一人になった。


伊織の勘ってすごいな…。


「遥くん、おつかれさま!見てたよー!」


声をかけると肩を跳ね上げて驚いていた。


「びっくりしたー…。ありがとうございます、負けちゃいましたけどね。みんな気合いがすごくて…こんなに汗かいたの久しぶりですよ!こうなるとこの髪もうっとうしくて…。」


そう言いながら前髪を少しだけ手で分けて触っている。うーん…ちょっとかわいい…!ていうかこんなに汗かいてるところを見るのも初めてちょっとだけ緊張する。


「ううん、かっこよかったよ。ま、まぁ正直顔結構見えてたけど…。あ、でもはっきり見たことないと全部は分からないと思うから大丈夫だよ!」


伊織も少しだけ見えたと言っていたし、多分少しくらい見えた人はいると思う。


「ま、まじすかー…ならもういっそのこと縛ろうかな…。仲良いやつだけの時はたまにやるんですけどね。どうですか?似合います?…なんてー。ごめんなさい…変なことしました…。」


くぅー…かわいい…!さりげなくひなからもらったやつも使ってくれてるし…!


ていうか本気で顔隠す気あるの…?ほとんど全開だよ…!


「全然、全然大丈夫!むしろ私としては結構ありっていうか…。あー…でもあんまりみんなの前ではやらない方がいいかも、顔隠したいんだもんね?」


「うーん、それもそうっすね。でも最近結衣さんとかひなちゃんのおかげで多少は抵抗なくなったんですよ!まぁ髪切ったりするのはまだハードル高いですけどねー。」


いつもはひなと一緒だからこうして二人で話すのって新鮮かも。なかなか強力な笑顔…。でも少しでも遥くんにとって私たちと過ごすことがプラスになってくれると嬉しいな。


「あれ、そういえば女子の方のフットサル行かなくていいんですか?俺は話しててもいいんですけど、みんな待ってるかもですけど…。」


気のせいかもしれないけど少しだけ寂しそうな顔をしているように見える。気のせいかもしれないけど…。でもこれが気のせいじゃなくあって欲しい。


「大丈夫だよ、私次のチームだもん。今はみんな見学してるか適当に練習してるだけだから。それに今くらいじゃない?学校で二人で話せるのって。ちょっと新鮮で嬉しいかも。」


「ずるいなぁ…そんなの言われたらもう少し話してたくなりますよ。そういえば体育の授業被るのって意外と初めてだったりします?選択被らないと一緒にならないですもんね。」


「伊織…えっと私の友達がフットサルがいいって言うからついてきたんだけど、遥くんがいるなら選んで正解だったよ!私の試合も見ててね、私だけ半袖だからちょっと恥ずかしいんだけどさ…。」


自分でもそう言いながら少しだけ恥ずかしくなってくる。一人だけ半袖の女って変じゃない…?ていうかいまさらだけど…汗くさくないかな?絶対口にはしないだろうけど、内心でそう思われてたりしないかな…。


「あ、じゃあ俺のやつ着ます?俺もう今日は使わないですし。」


平然と告げる彼の表情とその内容の衝撃とのギャップで私も少しだけ固まってしまう。


「いいの!?あ、いやその、やっぱり一人だけ半袖って恥ずかしいし…借りていいなら嬉しいなって。」


「もちろんですよ、少しだけ大きいかもですけどね。」


そう言って私に上着を差し出そうとして急に動きが止まった。


やっぱり嫌だったかな…?と私が思っていると、なんだか恥ずかしそうにしている。


「あ…ちょっと待ってくださいね…!…多分大丈夫だと思うんですけど…その匂い的な?一応持ってきただけで今日は一瞬しか着てないですし、試合前には脱いだので!多分、多分いけると思うんですけど…。その…嫌だったら言ってくださいね…?」


何度も匂いを嗅いでは首を捻って考え込むのを繰り返している姿がかわいい…!最終的には少しだけ顔を赤くして私に差し出してきてくれた。そのとき一瞬だけ校舎の方に人影見えた。


「全然大丈夫!え、ほんとに借りていいんだよね?洗って返すから!ありがとね!」


少しだけ強引に上着を拝借して私はグラウンドへと戻ることにする。さすがにこんなところ見られたら彼の迷惑になるからだ。


「なんかちょっと変な感じ…。」


自分のものより大きな上着に包まれていることで不思議とドキドキしてしまう。


(す、少しだけ匂いをかぐくらいならいいよね…?だって貸してくれたんだし…そ、それにバレなければセーフだもんね…!)


ジャージの首元に少しだけ手を伸ばしてみる


「ゆーいちゃん!お二人で何してたんですかー!」


「わー!ごめんなさい!まだ何もしてないです!…って伊織かぁ…良かったぁ。」


心臓が止まりそうになるほどびっくりした…。さすがにこんなところ見られたら言い訳できなかったかも…。


「え、なにほんとになんかしてたの?や、やだぁー…やらしーわぁ…。」


「ち、違うって!ただ二人で話してただけだから!何にもないから!」


伊織はにやにやとした顔をして楽しそうに笑っている。


「詳しくお姉さんに聞かせてみなさいな!…ん?あんた長袖忘れてたよね?ってことは…」


「いいから!何も聞かなくて!何も気づかなくていいから!」


「ええー!!マジ!?」


ああー…もうめんどくさい…。でもそんなに嫌じゃないから複雑…!



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