星座に詳しい姪っ子は色々なことも詳しい
『第4回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞』投稿作品です。
指定キーワードは『星座』
今回はかなりネタまみれ。
街灯がほとんどない真っ暗に近い田舎道をゆっくりと車で走り、目的地の広場に到着したところで停まってエンジンを切ると、助手席に座っていた今年幼稚園の年長さんになった姪っ子が俺の方を見上げる。
「ああ、もう降りていいぞ?」
「あつい! サウナみたい! ととのう!」
「実際のサウナはこんなもんじゃないけどな。ほら、えーっと……あれかな? あの三つの星が夏の大三角形じゃないか?」
車を降りて夜空を見上げると、満月が出ていて月明りで少し明るかった。それでも、田舎だからか街の灯に邪魔されることのない暗い空は星が良く見えていて、うろ覚えながらも方角的に、そして星の輝き的に三角形を描いている星がそうだろうと指差す。
「そう! あれがあるたいるで、あれがでねぶ、あれがべが!」
「おー、良く言えたな、凄い凄い」
「さいこくらっしゃーあたっく!」
なんでそっちの技名を知ってるんだろうな、兄貴達は自分達の娘に何を教えているんだろうか。
「それから、べががおりひめさまで、あるたいるがひこぼしさま!」
「おー、良く知ってるな。幼稚園で教えて貰ったのか?」
「そしてでねぶがまおとこで、さんかくかんけい」
大三角形ってそういう、じゃなくて帰ったら兄貴達に娘に変なことを教えるんじゃないって言わないといけないな。
「ただしうわきあいてはあるたいる」
「腐ってやがる、早すぎるだろ」
義姉さん、もうこの年から英才教育ですかそうですか。意味は分かってないって思いたいけど、分かってたら嫌だ。
姪っ子の将来を憂いていると、スマホが鳴った。この着信音は兄貴だな。
電話に出ながら、こちらを見上げて来る姪っ子に静かにするようにとジェスチャーをすると、両手で口元を押さえる仕草をする。こういうところは可愛いんだけどな、と少しほっとしつつ話を終えれば電話を切る。
「おじちゃん、でんわなんだった?」
「今から病院に行くぞ。赤ちゃん、産まれたってさ。今日からお姉ちゃんだな」
「本当!? 男の子? 女の子?」
「女の子だってさ、妹だな」
義姉さんの陣痛が始まって病院に入って、兄貴が付き添いするからその間、預かってくれって言われたんだけど無事に産まれて良かったよ。
お姉ちゃんだ、妹だ! って嬉しそうにはしゃいでる姪っ子を見ると、ほっこりした気持ちになるな。
「それじゃあ、わたしのなまえがさくやだから、いもうとのなまえはちかげだね、お兄様」
「あんちゃん、十二人も姪っ子がいるのはちょっと嫌だなぁ」
今回は趣味に走りネタを散りばめてみました(笑)