表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/8

ピアスと煙草

自動ドアが開いて、逆光でよく見えないが継美が入ってきた。

光を浴びて継美を縁取る髪の毛がキラキラ輝いて見える。


やはり継美は遅れてきた。

文庫本をしまいながら紫織は長い髪を耳にかける。

と同時に紫織の指がピアスに触れた。

まだ、少し、じんじんする。

開けてからまだ三日しか経っていない。


一瞬、ほんの一瞬、紫織は目を閉じた。


目を閉じても、その感触を思い出すことが出来る。

私の中に入ってきたソレは、既に私の一部となっていた。


紫織の家とはまた違った、でもひんやりとする、涼しげな空間。


彼が、消毒液を含ませたコットンで、紫織の耳朶を挟む。

安全ピンの先をライターの火で炙り、針の先を耳朶に押し当てる。

ぷすり、という音とともに紅い珠が溢れてくる。

大きくなったソレを、彼はガーゼでそっと拭き取り、そして、冷ややかなプラチナを射し込む。

後ろからキャッチを挟み込み、ガチリ、という音と共にソレは完了した。


ピアスを開ける事くらいなんてことはない。

問題は、誰に、開けてもらうか、という事だった。


そうでなければ、開けてもらう意味が無い。


紫織は、とても満足していた。

ジンジンする痛みと共に、ひどく温かな安堵感。


今の私はまるで、一人きりではないのだった。


『遅いじゃんか』

サラリと紫織が言う。

『ごめん』

息を切らせながら言うところを見る限り、彼女なりに急いで来たのだろう。


継美は、向かいの席にドサっと座った。

『あれ〜、レモンティー頼んでおいてくれたんだ〜』

汗をかいたグラスを見つめながら継美が言う。


同じく汗をかいている継美。

この女は、汗すらもキラキラとしていることに、果たして気付いているのだろうか。


女として生まれて大正解なタイプ。


継美をたまに、しっかりと見るたびに、紫織はそう思うのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ