九十八回目
ゆらゆらと意識が浮上して、私は自分の手をぼーっと見つめて気づく。
透けてる!?
足元に目を落とすと、足の方は透けているというレベルではなく、足先が景色に溶け込んで消えていた。
これはまさか、世に言う幽霊なのでは……? と思ったところで笑いが込み上げてきた。
いやいや、元々死んでいるんだから今更幽霊とか言われましても笑うしかありませんじゃん。ジョークならもっと小粋なのを頼むよ。
転生先幽霊とか笑えないじゃん。いや死んでるけど。
でも、幽霊になったっていうことは、終わりが近いのかな。いやぁ、今思うと色々あったなあ。無機物になったりもしたし、妊娠したのも驚きだった。世界樹になって燃やされたり、魔法少女になったり、ゾンビになったり、キノコになったり、ほうれん草になったり、ペンペン草になったり……いやまじで何やってんだ私。
色々あって、苦しかったり、悩んだりしたけど、それももう終わりなんだな、と思うと、一抹の寂しさを覚えたりする。まあもう転生するたびに死ぬのは勘弁だけど。
さて、三途の川はどこかな。親より早く死んだから、賽の河原で石積みさせられるのかな。
幽霊になってここまでるんるんするやつもおらんだろうな……まあ、これで普通の輪廻転生ができるってもんでしょ。数数多の異世界転生の記憶を失うのは惜しい気もするが、正常な人生に戻りたいという思いの方が強い。
人は死ぬなら、一回で充分だ。
そう思っていたら、体が透けてきた。一気に色を失っていく。私という存在が消えていく。
「まだ終わりじゃないよ。最後の仕上げをしなくちゃ」
誰かの声が聞こえた気がした。




