九十一回目
私は生まれて初めて雲海を見た。
というのも私ですね、今、飛行機なんですわ。え? 何を言っているかわからない? ハハッ、いつものことです。
飛行機になった私は悠然と空を飛んでいた。いやぁ、お日さまぽかぽか気持ちいいな。雲の上にいるんだから、太陽を遮るものがないのよね。すごいな飛行機。
飛行機に乗ったことすらないのに飛行機になるってどういうことよ、とは思うが、まあ、空の旅も悪くないので。のんびりしてるけど、実際は新幹線より速いんだっけ? よくわからない。何せ、生前は飛行機になるなんて思いもしなかったから。たぶんこれは全人類に言えるだろうけれど。
修学旅行くらいは行きたかったなぁ。修学旅行なら飛行機か新幹線だっただろうし。
そんなことをまったり考えていると右腕の感覚がおかしくなった。まあ飛行機で言うところの右翼である。並行が保てなくなる。
首も動かせないので確認はできないが、まずいことだけはわかった。たぶんバードなんちゃらだ。鳥が飛行機についている換気扇みたいなのに引っ掛かるやつ。墜落の原因は大抵それだという。
まずいぞ、落ちる。とはいえ、私は自分の意思では動けない。飛行機とは人間に操縦されるものだから。中は阿鼻叫喚だろうなあ。
雲海をずぼっと抜けると、悪天候だった。雷鳴が聞こえる。嫌な予感。
と思ったら、雷撃に私の体は貫かれた。死亡フラグ回収乙って感じだ。




