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七十七回目
私が踊っているのは、ただ体が覚えているだけだった。
いつも思うのだが、転生というより、憑依なのではないだろうか、これ。なんだかキャラクターの体を乗っ取って自己解釈で動かしているみたいな感じが罪深く感じる。
私は今褐色の肌の女性になって踊っている。踊り子だ。先日、事故に遭って、怪我は軽かったものの、昏睡していたらしく、皆に心配された。しかも、この女性の記憶が一切なく、記憶喪失とみなされた。
で、以前は踊り子をやっていたらしいことを聞き、療養期間が明けて、踊りの練習をしている。自然と体は動いた。私は不思議な心地で勝手に動く体をそのままにしていた。私じゃない何かが、この女性の根本である魂を揺さぶっているような、そんな感覚。
私はここにいていいのだろうか、と思う。私は存在してはいけないのではないだろうか。みんなが見たいのは名も知らぬこの女性であって、私ではないはずだ。誰も「私」を求めてはいない。
それは最初の世界からそうだった。
……最初の世界?
最初の世界って、なんだ?
ふと浮かんだ疑問の答えを探るうちに、意識がぷつんと途切れた。




