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六十八回目

 パキッ

 眼鏡から見える世界は、歪んでいてとても綺麗だった。何故歪んでいるのに綺麗と感じるかは、たぶん、眼鏡は着用者の視界を歪めてより正常な世界を見せるための道具だからだと思う。

 つまるところ、私は眼鏡になった。

 うん、なんじゃそりゃ、とは私も思った。なるなら眼鏡っ娘とかがよかった。そして何故無機物になるんだ。

 まあ、着用者の管理が悪くてもう壊れるが。でもまあ、悪くはなかったと思う。眼鏡から見た世界が、こんなにも歪んで滲んで滅茶苦茶なのに、その歪さがとても綺麗だと感じられた。人に悪意も向けられない。たまに七色の光を反射するのも美しかった。

 澄んだ世界を眼鏡に見せてもらえる人間はありがたく思うべきだ。物を大切に。

 私も眼鏡をかける機会が今後あるなら、大切に扱おう。

 パキッ

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