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五十八回目

 時は平安。

 その文字列の穏やかさとは対照的に人ならざるものが猛威を振るった時代である。

 病も怪我も、皆魑魅魍魎の仕業であった。

 何故、私がそんな話をするのか。もうお察しの方は多いのではないだろうか。

 私は今、陰陽師になっているのである。

 なんでというのは私も聞きたい。陰陽寮で平和に働くモブならいいのだが、私の立ち位置ハザマは平和に働くモブではない。

 家が、燃えた。

 最近蔓延っている魍魎のせいで、家が燃えた。独り身だったからよかったものの。陰陽師の才覚があったからよかったものの。

 運がいいのか悪いのかよくわからない青年陰陽師ハザマは、この物語「大跋扈列伝~平安に興じた鬼~」の序盤で死ぬからだ。

 陰陽寮で、火炙りにされる。

 火災のときに鬼が憑いてしまったらしく、陰陽寮を燃やしそうになるのだ。それを陰陽の術で祓おうとして、焼かれてしまう。

「う、あ」

 体の中で蠢く怨霊。それが吐き出そうとする熱を、ハザマは気力だけで抑えていたが、もう限界が近い。

「誰か……私ごと」

 この鬼を燃やしてくれ。そう願いながら、ハザマの意識は途切れた。

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