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五十四回目

 この世界では、歌姫が魔なるものから世界を守っている。

 守られて今日も普通の生活を送っている人々は知らない。

 歌姫がずっと歌っていることを。ろくに食事も与えられず、睡眠時間も最小限で歌うことを義務化され、弱音を吐こうものなら、「世界が滅んでもいいのか?」と世界を人質に取られる。そんな生活。

 私は今、「絶え間ない歌に祝福の花束を」というこういう世界に来ている。歌姫というこの世界の花形のようで、最も不幸かもしれない人物に転生したというわけだ。

 歌姫というだけあって声がとてもいいのだが、休ませてもらえない。アーティアという自分の名前も忘れてしまいそうだった。

「歌姫さま。あなただけが世界を守れるのです」

「歌い続けてください。世界のために」

「歌姫さまに、乾杯」

 正直、限界が来ている。声だって嗄れそうだ。水もろくに摂ってないのだ。食事もろくに摂ってない。立っているだけで精一杯なのに、歌わなければならない。

 誰か助けてと叫ぶことも許されない。助けてくれる人なんていない。

 最後まで世界のために歌い続けて死ぬのだろう。

 意識が遠退くのに、私は馬鹿みたいに歌っていた。

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