四十六回目
何故私はこんなことをしているのだろう。
「HEY、ヨー!! 今晩は始まるよ。へえふーん、今晩もやってくかい? ほら君のその手に、握られたジョッキー、今夜も派手に飲み明かそうぜアユレディ!!」
壊れたとかそういうわけではない。簡単に言うと、「転生したらDJでした」ということ。
もうなんでもありになってきたな。盾や剣に転生する方がまだましなのでは? クソ陰キャボッチにパリピの相手をさすな。
DJなんてこの世で最も私から遠い職業じゃないですかもう嫌ですよ。何が楽しくてパリピのテンションに合わせなくちゃならないんですか地獄かここは。賽の川原で石積みする方がまだましだわ。
ここは「昼地味男でも夜は陽気にパリピと笑う」という世界観で、私が転生したDJを始め、この世界のみんなが昼は今のきらきらバブル感からは程遠い地味人生を歩んでいるが、こうして夜だけ羽目を外しているという話である。
主人公は普通の青年で、同じ気質の人間しかいないことに疑問を持つ。そこから過激思想のやつが事件を起こしたり、あからさまに怪しいラボラトリーに実験台にされたりと様々な事件が起こる。それを解決しながら、昼は地味、夜はパリピの両極端編成な世界をちょっとずつ変えていく、という話だ。
おそらくこの名もないDJは殺される。今の世界に過激なまでに反発する組織の誰かに。
いや、今まで死ぬキャラにしか転生してこなかったという傾向から考えるのは切ないが、でもそう考えるしかない。
というか、DJやめたい。早く撃ってくれ。
クラスメイトにでも見られたらネタにされること請け合いだ。ならばいっそ殺してくれ。
そう思っていると、会場の陽気な音楽までをも貫くように、銃声が響いた。
壊れたようなリズムがノイズ混じりに人々の恐怖を掻き立てる。
死んでよかったと思うことは、おそらく後にも先にもこれだけだろう。




