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四十五回目

「なぁーに寝てんだよ、裕人!」

「で!?」

 背中を思い切り叩かれて起こされた。友人であろう短髪の人懐こそうな人物に咎めるような目を向ける。安らかな睡眠を妨げるような起こし方は許せん。

 ただ、その友人には見覚えがあった。蕪木(かぶらぎ)達人(たつと)。確か少年漫画「明日の夕陽は明るいか」の主人公だったと思う。

 男子校に通う達人はある日逢魔が時の魔物に遭遇し、目をつけられてしまう。そうして、友人の桜木(さくらぎ)裕人(ひろと)を魔物に食われ、魔物に復讐するために、逢魔が時研究所の研究プレイヤーという顔を持つようになるのだ。

 で、私は桜木裕人らしいんですが。

 ……既に死亡フラグが建っている。是非折りたいのだが。

 現実逃避のために話すと、達人は裕人のためにということを作中で繰り返し繰り返し言うので、「裕人と達人はできていたのでは?」というそういう界隈の妄想が薄い本を生み、この作品には薄い本から入った人も少なくない。かくいう私も薄い本から入った一人である。

 まあ、この達人の様子を見てわかるが、薄い本は全て誇大妄想だったのだな、と実感する。腐女子だったつもりはないが、穢れた目が洗われたというか、変なフィルターが取れた感じはある。

 これは逢魔が時と出会う前の第一話辺りの出来事だろう。ぼんやりとだが、覚えている。確か、この辺で「この何気ないやりとりが明日も続くんだと、何の疑問もなく、思っていたんだ」という達人のモノローグが入った。それはとても印象的で次の見開きいっぱいで裕人が形を持たぬどろどろとしたものに食われているシーンだったので、オンオフの激しさに動悸が激しくなったのを覚えている。

 時間軸的には、その後そうなる前、「今日は部活ねーんだろ? 一緒に帰ろうぜ」の辺りが入ってくるんだろうな。

 今更、運命に抗う気もない。というか、私はいつからか「抵抗」という言葉を忘れてしまった。何それ美味しいのくらいな感じで。

 まあ、食われるシリーズは今まで何回かあったので、耐性はあるだろう。

 ……

 それでも、へどろのような異臭と、肌を溶かす粘液はしんどかった。あと、裕人の名前を呼び続ける達人の声。

 彼の声が遠退いて、この世界は終わった。

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