四十一回目
のっそりと視界が拓けたと思ったら、ふかふかした土のような何かの上にいた。
というか、直立不動状態なのだが、視界は三百六十度横回転できるらしい。
で、声が出たなら「どうして!?」と叫びたくなる状況に私はあった。
そこでは、キノコが育てられていた。私の周りにもぽこぽことキノコが生えており、向かいの棚にも隣の棚にも、キノコがずらりと並んでいた。でかいと思ったが、それは私が人間ではなく、キノコだからだ。
もう一度言おう。私はキノコなのだ。
何がどうなったらこうなるのか、というのは毎回思っていることではあるが、本当に何がどうなったらこうなるのか。キノコは菌類だからすごく大目に見てぎりぎり生き物だが。人間じゃないものに転生しすぎではないだろうか。というかさっきアイドルだったところからの落差すげえな。
何に愛でられるわけでもないキノコ生はさして楽しくもないが、楽ではあった。なんだろう、何もする必要がないし、何も気にする必要もないから、すごい気が楽。立っているだけでいいしね。
時折、白衣やエプロンを身につけた人が様子を見に来る。それを見て、これは「のんびりキノコ育成ゲームのんのん」というゲームの世界観だと知った。「のんのん」はキノコを育てるだけのアプリゲーム。スローライフにぴったりのゲームで、やることはほとんど放置。どこぞの放置ゲームのようにかまちょなこともない。キノコだし。まあ、放置されすぎるとカビるが。
ん、もしかして……
「わっ、このキノコカビてる!」
そんな声と共にもぎ取られる私の体。まさか。
私は頭からごみ箱にダイブした。




