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二十四回目

「くそったれ……」

 目を覚ましながら、そう呟いて、気づく。

 自分の吐いた悪態が黒い塊になってばらばらと散り、どこかへ飛んでいった。下の階から声が聞こえる。悲鳴だ。

 なんとなく、ここがどんな世界かわかった。これはかつて「こんころ」と呼ばれた通称に似合わない物騒な世界観だ。正式名称は「ボンジュール、ドゥウェ」だったと思う。

 悪意が形になる世界。強い呪術師は悪態一つ吐くだけで人々に不幸を与える存在。恐れられ、避けられた。ただ、不用意に呪術師の神経を逆撫でしてもいけないので、ごますりをする人間も少なくないが、大抵は話しかけすらしない。

 で、今の私だが、そういう世界観の呪術師に転生したらしい。そこそこ強いようなので、名前のあるキャラクターだろう。でなければちょっと毒づいたくらいで悲鳴が上がるほどの惨事にはなるまい。

 起き上がると、姿見に向かう。姿見はこの世界観では必須だ。呪術師から逃げるために、魔除けとして鏡を置く。すると、呪術師は鏡の中に入れないので追ってこられないわけである。

 というわけで、呪術師の私は鏡抜けができないのだが、まあ、鏡の本来の用途である「自分の姿を見る」ことはできるので、別に困らない。

 色の抜けた金髪は癖毛で、垂れ目。うん、こいつはサクレだな。そこそこ強い呪術師だけれど、実力は上の下くらいで、まだまだもっと強いやつはたくさんいる。

 サクレは呪詛返しに遭って死ぬのだ。

 ……なんで毎回死ぬのだろう?

 まあ、サクレは一定の人気のあるキャラで、主人公より人気だった。死ぬまでは。

 死んでからその死亡シーンの呆気なさから一気に人気ががた落ちした不憫なキャラである。

 気落ちしていると、外から紙飛行機が飛んできて、窓を叩いた。呪詛なら窓なんかお構い無しに突き破ってくるから大丈夫だろう。

 開けると、紙飛行機はひとりでに開き、手紙となった。

「こんにちは、死んでください」

 うわ、呪詛や。

 燃やそう、とぱちんと指を鳴らして火で炙ると、紙はナイフになってサクレを刺した。

「かはっ……」

 いや、死ぬの早いな!?

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