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二十二回目

 意識を持ったとき、そこは真っ暗だった。お先真っ暗的な意味ではなく、何も見えなかった。見えないというか、真っ黒。

 上の方から声が聞こえる。くつくつと声を押し殺した笑いと、ひっひっという不気味な笑い声。うーん、悪魔だとしたら、前者の方が気品があって、位もある感じ。後者は雑魚感がすごい。雑なキャラ設定までをも感じさせるほどの雑魚ニズムだ。なれても中ボス。その上には四天王、魔王、裏ボスが待っている。

 まあ、ここがそういう世界とは限らないし、様子を見ていない私が何を言うのか、という話だが。っていうかずっと真っ黒なんだけど、これどういう状況? 私、今度は何になったの?

 さすがに数分放置の末、真っ黒な視界のままというのは情報量が少ないのではなかろうか。

 新しい情報を、と思ったが、自力では動けない。喋るのも無理だ。世界樹のときに学んだ視点移動もできないようだ。少ない情報をまとめて、うむ、わからん、と思っていると持ち上げられた感覚がした。続いて、揺らされて、何かが擦れる音が聞こえた。これはあまり固いものではない。紙の擦れる音だ。まるでトランプでも切っているような……?

 擦れる音がして、視界が一瞬拓け、すぐ閉ざされた。もしかしてだけど、トランプか何かになった?

 やがて固い台の上に置かれるような感覚がして、また紙が擦れる音がする。何枚か引いたようだが、カードゲームだろうか。

 え、カード?

「demon spell.I am demon.And you?」

「I am demon.Cast us spell!!」

「「Fight!!」」

 うお、この正しいのか間違っているのかわからない英語のやりとり、聞いたことがあるぞ。これは……「demon spell」という悪魔の遊戯、カードゲームである。アニメでやっていた。

 その中のカードの一枚に転生した、というわけだ。なるほどなるほど……ってなるかボケェ!!

 今まで確かに羽根ペンだのロボットだの人間じゃないものにも色々転生してきたけどさ、コアすぎない? デモスペって言ったらあまりにも人気出なくて八話で打ち切りになったアニメだからね!? 知ってるやつの方が少ないわ。

 デモスペは子ども向けカードゲームらしいんだけど、そもそも登場人物全員悪魔って時点で終わってるだろ。よく考えろよ。人間が悪魔と戦う展開の方が絶対子ども受けよかっただろ。開発陣は馬鹿なのか?

 そう思うくらいコンセプトからずれにずれた作品なのだが、年齢層を移せばそれなりの人気作。カードは当時の中二病患者の分身やら化身やら配下やらになっていた。私の世代は小学校後半には中二病を発症する人物も多く、ちょうど流行った。流行ったのでちょっとかじった程度だが、これがアニメ通りだとしたら、私は死ぬ。

 デモスペは悪魔の遊戯だ。悪魔的ルールがあって、敗者のカードは無価値とみなされ、勝者に焼かれるのだ。つまり私の死亡原因トップ街道爆走中の焼死が待っている。さっきこんがり焼かれたばかりなのでやめてほしい。

「ドロー」

 紙の擦れる音。うわ、この声さっきの小物の方じゃん。すっげえ負けフラグしか感じないんだけど。

 しばらくして、この野郎見事にフラグ回収しやがった。

 世界に爆誕三十分。特に何の見せ場もなく焼却される私。この世界に来た意味とは?

 まあ、三下に焼かれるよりは階級上の悪魔に焼かれる方がまし、ということで妥協した私はそろそろ転生に慣れてきた。

 次はせめて手足のある生き物になりたい。

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