にの十話 太陽は昇り始める〜2〜
「・・・滅せよ、“ヘル・カイゼルフレイム”!!!」
「待て、リン!!周りの被害も・・・ぎゃあああああ!!!!」
「フウガぁぁぁああああああ!!!!!」
リン・ライム・フウガのリアル鬼ごっこ♪
現在鬼リン、脱落者フウガ、etc・・・
「な、なんだあれ・・・」
その様子を見て思わずナルシスは呟く。
「・・・さすがリン。僕の認めた漢。」
マオはそう言いながらライムを追い詰めてきているリンに親指を立てる。
「評価の基準が壊れてないかお前。」
「・・・面白こそが我が全て。」
どっかの天使もどきと気が合いそうだ。
「・・・それよりいいの?降参しなくて。」
その言葉は分だけでは皮肉のようだが、本人にはその気はまったくなく。
言われた本人もまったく気を悪くしてない。
「確かに、あの三人の一人である君に勝つのは難しい。」
七年前突然大量の魔物が各地の町などに押し入る事件があった。
それはほとんどの町がなんとか魔物を退けた。
しかしここプロビンスナインの退け方はとても特殊だった。
魔物たちが町に向け進行しているとき偶然ある三人と出会った。
町のものが気づき討伐軍を出した時にはもう遅く。
その三人によって魔物たちは全滅していた。
その三人こそがマキ、マナそしてここにいるマオ。
「でも僕は引くわけにはいかない。」
彼のその目に宿る意思は強い。
それを汲み取ったマオは問う。
「・・・何故、そこまで燃えているの?僕には理解できない。」
「簡単なことだ。この大会に優勝すれば・・・」
そこでナルシスは言葉を切る。
彼は優勝した時のことを少し想い、そして言葉を続ける。
「改名できるんだ!!!」
「絶対に僕は負けるわけにはいかない!!!」
「てめぇえええ!!!!」
マオのその言葉の意味をすぐに理解し、叫ぶ。
「・・・改名するだと?ふざけるな!!!」
「大真面目だ!!」
「・・・言葉でいってもお前には届かないようだね。」
「それはこっちのセリフだ。」
そしてマオは審判のほうを向く。
「・・・始めて。」
「どうやら両者準備はよろしいようですね。それでは一回戦第一試合、始め!!」
その言葉とともにマオは後ろに下がる。
「水鞭“シャルス”」
その言葉とともにマオの右手の水の鞭が現れる。
すぐにそれを握り一度それを左の方に振り上げた後ナルシスに向け振るう。
それが自分のとこに来る前にナルシスは右足を前に力強く踏み込みそれを軸に左足を蹴り上げる。
その蹴りは見事鞭を砕き、水の欠片が辺りに散ばる。
ナルシスはマオの方へ駆け出し間合いを詰めていく。
「変われ、水剣“シャルス”」
そう呟くことにより鞭は形を変えレイピアのような細身の剣となる。
それでマオは向ってくるナルシスを突き刺す。
しかしその突きをナルシスは膝を折りしゃがむことで避ける。
そして左手をリングにつかせ右足を回してマオの足を払おうとする。
マオは忌々しげに顔を歪めながら跳んでそれを交わす。
が、ナルシスは笑い、マオの表情も変わらない。
ナルシスは足払いのためにまわした右足をそのまま回しながら、左足だけで跳び、空中で避けることのできないマオに回した右足での回し蹴り。
マオは剣を縦に構えさらにその後ろに左腕を構えそれをガードしようとする。
しかし、剣は砕かれ、左足のガードごとマオは吹っ飛ぶ。
二回バウンドしながらもその勢いを利用して立ち上がる。
「湧け、癒しの象徴。今我が敵を飲み込め、“ウェイブ”!!」
左手を前に突き出す。
そこから水が現れ、ナルシスに波のように向う。
それに対してナルシスは波に向って二、三歩助走をつけて跳ぶ。
その後空中で無理やり腰を回しながらの右の回し蹴りを波に向けて繰り出す。
それにより波は砕け、ナルシスはそのまま着地し、マオを見据える。
「湧け、癒しの象徴。今我が敵を飲み込め、“ウェイブ”!!」
(なっ・・・また!?)
マオは先ほど破られた魔法をもう一度放つ。
「血迷ったか!!!」
ナルシスも先ほどと同じようにその魔法を迎え撃つため跳ぶ。
その時ナルシスは見た、マオが微笑んでいるのを。
「続けて、波よ、今我が敵を捕らえよ。“アレスト”!!」
(発展魔法!!?)
波はその動きを変え、ナルシスの四肢を捉える。
「続けて、水よ、今形を為せ。“スライム”!!」
今度はナルシスに砕かれてただの水になっていたものが集まりスライム状になる。
「最後に、“アレスト”、“スライム”、今一つとなれ!!」
スライム状のものがナルシスに向って伸び、ナルシスを捕縛している水もそれに向うように伸びていき一つとなりナルシスを空中で固定する。
「最初の時にやらなかったのはこの為か!!」
「ふっ・・・」
その問いかけに対しマオは笑みで返すだけ。
そして右手をナルシスに向け、
「さぁ、チェックメイトだ。」
「舐めるなぁぁあああ!!!轟け、破壊の象徴!!」
ナルシスの前方に雷が現れる。
それに対応してマオも、
「湧け、癒しの象徴!!」
自分が出せる最大の量の水を出す。
「雷の帝よ、今ここに出でよ、我が敵を打ち砕け“アレクサンドル”!!」
「海の王者よ、今ここに出でよ、全てを飲み込め“リヴァイアサン”!!」
片は五メートルほどの剣を持った巨人、方は十メートルほどの長さをもつ海竜。
ともに上級魔法、種類としては雷の“アレクサンドル”有利、魔力量はマオの魔法の“リヴァイアサン”有利。
「「行け!!」」
偶然にも二人の声は重なる。
まず“アレクサンドル”がその剣を地面に平行に構え突き出す。“リヴァイアサン”はその口を開き突っ込む。
剣は簡単に“リヴァイアサン”を貫くしかし“リヴァイアサン”は止まらない。
そのまま右腕で“アレクサンドル”の頭を払う。
それにより頭は吹っ飛び、倒れる。
そこで“リヴァイアサン”も力尽き倒れる。ただしナルシスを巻き込んで。
「う、うわぁ、ああああああああああああ!!!!」
ナルシスを捉えていた拘束もそれで壊れ、リングに落ちる。
「ワン!ツー!スリー!・・・」
審判のカウントが始まる。
ナルシスは立ち上がろうとするが身体がピクッと震えるだけで動かない。
「エイト!ナイン!テン!!!勝者マオ・サキモリ!!!!」
おおおおおおおおおおお!!
周囲からは歓声の雄叫び。
これでまず一試合目が終わった。
くそ・・・ははっ、優勝はおろか一回戦負けか・・・
「改名・・したかったなぁ・・・」
ナルシスは空を仰ぎながら呟く。
「・・・ねぇ、ナルシスト。」
「ナルシスだ。」
まぁこの会話はとりあえずスルー。
「・・・なんでそんなに改名したいの?」
マオは本当に不思議そうに尋ねる。
「そんなの当たり前だろ!!こんな名前・・・」
「・・・お前の親は何も考えずにその名前を付けたと思うの?」
「!?」
そういえば・・・昔聞いたことがあった。
『ねぇ、父さん・・・なんで僕にこんな名前付けたの・・・?』
その子は泣きながら尋ねる。
『そんなの決まってるじゃないか。』
『えっ・・・・』
『ナルシストになってほしかったからさ!!』
『・・・・・・・』
涙は止まっていた。
うん・・・帰ったらあのクソオヤジぶん殴ろう。
親に恵まれなかった男、それがナルシス。
リィ「元ネタ公開タ〜イム!!!」
シーク「い、いぇーい・・・」
リィ「さぁてまずは“アレクサンドル”!!」
またの名をアレキサンダー、おそらくほとんどの人のが名前ぐらいは知っている古代の王。詳しくは覚えてないが自分の国から東に遠征し、どんどん国を落とし支配下にした。ただその遠征から戻るときに病死。
シーク「ゼウスの子だったという話もある。」
リィ「次は“リヴァイアサン”!!」
某RPGでとても有名な悪魔。巨大な海竜で七つの大罪の“嫉妬”を象徴している。
シーク「その名は“とぐろを巻いたもの”、“集って壁になるもの”という意味がある。」
リィ「それではこんな駄作ですがこれからもよろしく頼むわ!!」
シーク「感想・評価待ってます!!」
次の話も楽しみに待っていてくれたら嬉しい。