にの七話 前菜的な話を少々
次話から話を進めます
ただなんとなく歩いていると俺は彼女に会った。
俺の周りの女性といえばリンとマキさんだが二人とも客観的に見れば美しいが、その人はそれとは違う美しさだった。
黒っぽい茶色の髪を背中まで伸ばしていて、白銀の目はなにもかもを見通しそうだった。
またとても凛とした顔つきで、背筋もぴんと張っていた。
まるで、騎士のようだった。
こちらの視線に気づいたらしく彼女はこちらを向き、あろうことか近づいてきて、
「どうしたんだ、ウィル?」
たしかに俺の名前を言った。
「な、なんで俺の名前を・・・?」
「はっ・・?」
俺の問いに彼女は理解できないと言いたげな顔をした。
「いや、なんでって私が君の名前を知ってるのは・・・」
そこで彼女はハッとしたような顔になって自分の髪に手をかけた。
「あ、あは、あはははは。」
それで何かに気づいたようで、あいまいに笑うと、
「し、失礼!!」
「あっ、ちょっ・・・」
急に走って逃げてしまった。
えぇと、なんだったんだろうか?
あれ?そう言えばあの人・・・誰かに似てるような・・?
「あ〜フウキ〜」
「げっ。」
特にやることもないし、適当に町あるいとったらやな奴にあってもうた。
「フウキ〜“げっ”って〜なんですか〜?“げっ”って〜」
あ〜無意識にそう言ってたようやな。
正直に言うとわいはマキが苦手や。なんでかゆうと・・・
「まぁ〜それは〜別にいいですよ〜にしては〜本当いいですよね!!フウキはフウガ様と同じ部屋で!!!」
普通に喋りだしてもうた・・・こりゃめんどくさくなるわ。
理由話す前に一つ言うけどわいとフウガは血つながってないけど、兄弟やし仲はええんや。
それがマキは不満のようみたいなんや。
それでわいにいちいちつかっかってくるんや
「聞いてるんですか、フウキ!!?」
「はい、はいきいとるで。」
あぁもぅこのフウガLOVE女は・・・
「最近フウガ様私にあんまり構ってくれないし・・・!!」
あぁ〜愚痴モードに突入した・・・
なんでこんなんがサキモリ・カエデ両方でも五指に入るほどの実力者なんやろ?
しかも悪いやつやないから余計性質悪いんや。
「そういえば聞いてくださいよ、この前なんかフウガ様・・・」
ほんま疲れる・・・
「つ、疲れた〜」
とても深く息を吐きながら、私は壁にもたりかかるように尻餅をついた。
私・・・リンは一昨日からライムとフウガに修行に付き合ってもらっていた。
マナ・・・いやギアは全然本気を出していなかった。
あのままでは全力で戦っても敵わなかった。
だからこそ物凄いスパルタで頼んだんだけど・・・
か、かなりきつい・・・
あの時はすでに夕方に近かったから実質一日で強くなるためにはそれでもまだ足りないと思うけど正直もう立てそうにない。
とりあえず荒い息をできるだけ整えようとしていると、
「・・・湧け、癒しの象徴。今彼のものの疲れを癒せ、“リフレッシュ”」
突然魔法により発生した水が私の全身を包んだ。
魔法だけあり水の中だけど呼吸ができないことはなかった。
その水はだんだんと私の中に入ってきて、全部消えた。
それによって全快ってほどでもないけど大分楽になった。
「ありがと、マオウ。」
「・・・どういたしまして。」
私は立ち上がりながら魔法をかけてくれたマオウに礼を言った。
「・・・ねぇ、リン。」
・・・?なんなのかな?
「・・・どうして、急に焦って強くなろうとしてるの?」
・・・まぁバレルか。
「友達のため。」
簡単な言葉だけど紛れもない私の本心。
「・・・そっ・・か・・・、うん、分かった。」
マオウは深くは問わないでくれた。でも、
「・・・ただ、相談したいことがあったらいつでも言って、頼りたくなったらいつでも頼って・・・」
それから一度言葉をきり私の目を見据え、
「僕も友達だからね。」
うん・・・そうだね。
「ありがとう、マオウ。」
「・・・どういたしまして。」
昨日突然リンに私を鍛えてと言われた。
まぁ断る理由もなかったし、人に教えるのもいい勉強になるというし、第一リンは魔法を全属性使えるから教えておきたかったこともあったし引き受けた。
ちなみにその時遇全一緒にいたフウガも付き合っていた。
俺はそれと俺の魔法の技術を、フウガは自身の格闘技術をここ二日で叩きこんだ。
ちなみに明日はどうも用事があるらしいから休みだが、
しかしリンを鍛えていて一つ思ったことがある。
「リンって上達が早いな。」
あれも基礎だけとは言えほとんど修得してきてるし。
「あぁ、ほんと教えがいがある。」
フウガもそう思ってたようだな。
「えぇ、私も見ていて面白かったです。」
「いや、なんで当然のようにいんだ、ハルシオン!!」
いつのまにか俺の隣には見た目天使でも鳥人のやつがいた。
「そこに面白があるからです。」
「お前本当作者の意図したキャラとは間逆のベクトルを進んでるな。」
“これはこれでかなり気に入ってるけどね。”
「ってお前昨日の!!」
?・・・あぁ、フウガが昨日言ってたのはハルシオンのことだったのか。
「おや一日ぶりですね、フウガさん。」
「?なんで俺の名前知ってんだ?」
「細かいことを気にしたらそこで人生終了ですよ。」
「重ッ!!?」
・・・相変わらす絶好調だな、お前は。
「まぁフウガさんをからかうのはこれくらいにして・・・」
「なぁ、ライムこいつ殴っていいよな?いいよな!!!」
・・・気にしたら、負けだ。
「これを渡したかったんです。」
「「?」」
そういうとハルシオンはどこからか二枚のチラシを俺たちに渡してきた。
「それでは!!」
受け取るとハルシオンはすぐに飛んでどっかに行ってしまった。
まぁとりあえずそのチラシを見て・・・
「「賞金100万ウォン!!?」」
でかでかと書かれたその単語に思わず大声で驚いた。
そしてその詳細を見た。
「あっ、そうだ。」
ライムさん達にチラシを渡して、サクラ様の下へ帰ろうとした時ふと思いついた。
「私も出たら面白そうだ。」
今からライムさんたちの驚いた顔が浮かぶ。
ふふふ・・・明日が楽しみです。
そして大会は始まる。
リィ「さて、次からやっと本編が進むわけね!!」
な、長かった・・・
シーク「番外編を抜いたらまだ六話しかやってないけどね。」
うっ。
リィ「番外編といえば、外伝っていつやるの?」
あぁそれはプロビンスナインでの話を終わらせてからやるつもり。
シーク「へぇ〜じゃあ次の話が終わったら?」
いやもう一つ山場となる話があるよ。それから日常をもう少しやるつもりだし。
リィ「・・・ねぇこの小説何話は書くつもり。」
軽く二百いくだろうな。あくまで予定だけど
シーク「いつ終わるんだろうね・・・」
・・・もっとがんばります。