番外編 最たる異端と黒き十字架 中編
はーはっははは!!冬休み!!!!!!
こんにちは、と言っても外はもう日が落ちかけているからこんばんはかな?シークです。
「フシャアア!!!」
「ひゃっ!?」
今、猫のように女性を威嚇しているのは僕の・・・こ、恋人のリィです。
うん、やっぱまだ慣れないなこの響きは。
にしてはなんでそのリィが女性を威嚇しているかというと(猫のようにってところは華麗にスルーしてね。)まぁ、楽するけど番外編 最たる異端と黒き十字架 前編を見てください。
さて、リィの行動は全部可愛くて、面白いけどそろそろ話を進めなきゃね。
ついでに比率は6:4。
「リィ、そろそろ止めようね。」
そういいながら、リィの体を持って彼女から離す。
ん、やっぱリィは小柄な分軽いなぁ。
「シ〜ク〜。」
リィは恨めしそうに僕を睨む。けどねリィ、見上げる形になってるから自然上目遣いになってるし迫力よりも可愛いとしか感じられないんだけど。
「まぁまぁリィ、彼女だって悪気があってした訳じゃないんだし、許してあげよ?」
ていうか完全に濡れ衣だしね。
「う〜シークが言うなら・・・」
リィもやっと落ち着いたみたいだし、そろそろ本題に入るかな。
「さて、話に入る前にあなたの名前は?」
彼女は未だに何かに怯えている。そんなに恐ろしいことがあったんだろうか?
「え、エミリアです。」
「そう・・・エミリアさんはどうして僕たちに助けを求めたの?様子から見て事は大きそうだけど。」
「は、はい、実は・・・」
それは三日前のことでした。この村に一人の旅人がやって来ました。
その人はとても調子が悪そうでそれを心配したここの宿屋の主人がすぐにベッドを運びました。
その旅人はしばらくすると調子がよくなりましたが主人に礼だけを言うとまた死んだように眠ってしまいました。
主人も旅人の回復を聞いた私もみんなもそのことを気にもとめませんでした。でもその時気づくべきだったのです。
その男が吸血鬼であることを。
「?何でそこで吸血鬼が出てくるの?」
エミリアさんの話の途中でリィが口を出してきた。そういえばリィはムツキを倒したいのにこの手の知識は疎かったんだよね。
「別におかしいことじゃないよ、リィ。若い吸血鬼は太陽の光に弱いんだ。だからベッドに・・・つまり日光から離されたから体調がよくなったんだろう。それに他にも吸血鬼は昼間は棺桶に入って寝て過ごすんだ。まぁ普通にベッドでもいいんだけどね。その吸血鬼は多分半日ぐらいは昼寝なくても過ごせるみたいだから300〜400歳ぐらいかな。」
「そんぐらい生きてたらどのぐらい強いの?」
「んーだいたい、ムツキの“大蛇”ぐらいかな。」
「・・・私にだけは分かりやすい説明ありがとう。」
「?」
エミリアさんには悪いけど伏線ははれるうちにはっとかないとね。
「えぇと・・・続き話ますよ?」
「あ、はい。お願いします。」
異変は夜に起きました。宿屋から主人の怯えた叫び声が一瞬だけでも村全体に届くように聞こえました。
不審に思って村の大体の人が宿屋に集まりました。そして主人の様子を確かめに行こうとしたときでした。
いきなり宿屋のドアが開き、中からおぼつかない足取りで主人が出てきました。
誰かが主人に駆けよって大丈夫かと確かめました。
主人はいつもの様子でそれに答えながらその人に首に噛み付きました。
そしてジュルジュルと血を吸う音だけが響いていました。私たちは恐怖でなにがなんだか分からなくなりました。
我に返ってまた誰かが噛み付いている主人を引き剥がそうとしました。
しかし、主人はビクともせず逆にその誰かは宿屋から現れた者に噛み付かれ、血を吸われました。
そう、旅人によって。
主人と旅人は血を吸い終わるとまた違う誰かの血を吸い始めました。
いえ、その二人だけではありません。血を吸われ終わった人もしばらくすると立ち上がり他の人の血を吸い始めました。
私は怖くなってその場から逃げ出し無駄だと分かってましたが家に閉じこもりました。
足音がし、ドアがノックされました。いえ、それだけではありません家の周り全てを叩かれ、出て来いと聞き慣れた声で何時間も言われ続けました。
「ちょっと待って、なんでそいつら無理やり入らなかったの?吸血鬼なら鍵壊して入るなんて余裕で出来ると思うんだけど。」
またリィが口を出してきた。まぁこれはリィじゃなくても疑問に思ってもおかしくないね。
「リィ、吸血鬼ていうのは家にその家の人の許可がないと入れないんだよ。」
「へぇ・・・でもなんで?」
「これはゾンビにも言えることなんだけどね。死者は死者、もう生者ではない。だからこそ勝手に生者の世界に入る事は出来ない。特にそれがもっとも強い家とかにはね。」
「なるほど。」
リィも分かってくれたみたいだね。
「じゃあエミリアさん続けて。」
「はい。」
もう、気が狂いそうになってきた頃いきなり声が途絶えたくさんの足音とともに家の周りの人たちはいなくなりました。
外を見てみるともう、朝になっていました。
私は、今は安全だと分かっていましたがそれでも怖くて家の外に出れませんでした。
そうしてまた夜になるとまた大量の足音と最初のノックとともに地獄が始まりました。
それも私はなんとか耐え切りました。そして思い切って外に出て助けを呼ぶことにしたんです。
そうして出会ったのが・・・
「私たちって訳ね。」
「はい、そうです。正直そんなにお礼はでききません、でもたす・・」
コン、コン。
「「「!?」」」
エミリアの話を遮ってノックの音が響いた。
バン、バン、バン!バン!!!
次に家中の外に面している壁から叩かれる音がし、
出ておいでエミリア。出てきてよエミリアお姉ちゃん。おいでよリア。出てきてエミリア。出なさいエミリア。出てこいよエミリア。出て来い!!!
デテコイデテコイデテコイデテコイデテコイデテコイデテコイデテコイデテコイデテコイデテコイデテコイデテコイデテコイデテコイデテコイデテコイデテコイデテコイデテコイデテコイデテコイデテコイデテコイデテコイ
「い・・やぁ・・・」
なるほどこれはつらい。よく二回も持ったな、エミリアさん。
「エミリアさん、これを!」
「へっ?ひゃっ!?」
念のためエミリアさんにあれを渡しておいたがいきなり投げたせいかエミリアさんは驚いてそれを落としてしまった。
「こ・・・これは?」
「銀です!吸血鬼は銀を恐れるんです!!」
「そ、そうなんですか・・・」
とりあえずこれでエミリアさんは安心だ。それじゃ一刻も早く吸血鬼を倒さなきゃ。
急いで外に出ようとすると視線を感じた。振りかえって見るとリィが僕をじっと見ていた。
他人の感情なんて言ってもらわないと分からない。でもこの時はリィが言いたいことが分かった。
分かったという意味を込めて笑うと、リィもつられて笑った。
「私はあいつを一人にするわけにいかないし家の周りのを倒すわ、シークは父親をお願い。」
「分かった。」
さぁ、血の舞踏会の始まりだ。
ウィル「今回は俺ウィルと」
アス「僕と作者でお送りするよ。」
なぜか癒されるこの二人。
ウィル「俺らはまともだからな。」
アス「シスコンを除けばな。」
確かに二人ともそうだな、なので今回は普通に後書きするか。
「「えっ、今までのは?」」
キャラ出し、
アス「そ。そうなのか。」
もともとリィとシークの出番めちゃ遅くなるから忘れられないようにするために始めたからな、これ。
ウィル「そういえば・・」
まぁその話はそれぐらいにしといて番外編は次でおそらく最後です。
アス「おそらく?」
もしかしたらリィ編とシーク編で分けるかもしれないから。
ウィル「なるほど、まぁとにかくついにあの二人の実力が明らかになるのか。」
全力はださないけどね。
アス「とりあえず番外編や本編の次話を楽しみに待っていてほしい。」
ウィル「感想まってます。」
次は本編でーす。